仕事の話

和裁士としての在り方を考えさせられた出会い

お仕立の話をこのブログでは殆どしていないのですが、今回はお仕立に関するお話をしようと思います。
それは、今まで自分の仕立てたお着物がお客様にどういう風に体に馴染むのか、着心地や見た目のシルエットや美しさを考えさせられたからです。

話の発端は、お客様のM様とお仕立の件でのミーティング。
今までM様はお着物をお仕立する時、殆どの方がそうする様に呉服屋さんを通してお仕立てをされていたそうです。
けれども自分の思いや要望が呉服屋さんを通してしまうとどうしても伝わらないと、私もとある方を通してご紹介して頂いた方です。
今回は私がお仕立したお着物に関して納得がいかない所や、もっとこうして欲しいというご要望をお伺いする為のミーティングです。

本来はこういう事がとても大切。(というかこうあるべきなのだと思います。)
和裁士という仕事は、呉服屋さん、デパートから仕立の依頼を頂いて、いわば寸法のみでお仕立てをするわけです。
実際にはお客様とはお会いすることはありませんし、感想をうかがう事も出来ません。
ですから師匠(先生)の評価のみが唯一の判断基準。ですがそれは技術に関しての事のみで本当に着心地が良いのかはまた別のお話にってしまいます。もちろん和裁所(修行中)は技術を磨く事が目的ですから、それもとても大切な事です。
これからお話しすることは、ちょっと難しい話になるかもしれませんが、M様が感じた疑問は本来は和裁士が考えなければいけない事だったのだと思います。

話が長くなりますので、何日かに分けてお伝えしようと思います。
言葉が足りない部分もあるかと思いますが、どうぞ汲み取って頂けたらと思います。

+++次回に続く