本日のお客様

本日のお客様 (結城縮の使用感についてのご相談)

世田谷区H様。
先日お渡ししました結城縮の着用感についてメールがありました。
“お茶をする時に上手く着物が捌けずにもたついてしまう。”
という内容の物でした。
以前と寸法を変更したわけでもないので、いらしていただいて拝見させていただく事になりました。

他にもいくつかお着物をお持ちいただいてお召しになっていただき、実際にお茶の時の動作をしてもらいました。
ひざをついて横に移動する様な時に、もたついてしまう(シワがよってしまう)感じがありました。

私の見立てでは、縮という生地はシボがあり、新品の反物でしたのでまだ生地の起毛が落ち着いていないのだと思いました。
居敷当てはついているものの、前身頃の裏には何もついていないので滑りが悪いのだと思います。
その為、生地と生地が擦れる様な動作の時にもたついてしまうのだと考えました。
私も木綿地の裾除けを使用した事があるのですが、歩いていると着物の中でもたついてとても歩きずらかったことがあります。
多分、年月が経てばそれもおさまってくると思いますが、月日が経つのをただ待っているだけでは今の対処ができません。
単衣のお着物ですが、前身頃と衽の裏にも羽二重を付けることが出来ますよとご提案。
更にいえば白ではなく、お着物を同じようなお色の方が目立ちません。

以上をご提案させていただきましたが、もう少し着用してみてH様にとっての最善策を考えますというお言葉をいただきました。
こういう相談が出来るのがとてもうれしいとも言っていただきましたが、私にとってもありがたい事だと思っています。
着用感はお客様それぞれです。
エンドユーザーの声を直に聴けるのは、個人で対応しているからこそ。
呉服屋さんを通してだと、なかなか聴くことはできないものです。
使用感をお伺いして更により良くしていきたいと思うのは、物作りを職業としている者としての使命なのではないでしょうか。
些細なことだと思わずに、色々ご相談いただきたいです。