9月2011

紬屋 吉平 上布

【東京都 品川区在住 S様】

紬屋 吉平の上布をお仕立させて頂きました。
麻の生地は縫っていても気持ちが良いです。こちらは少し凹凸のある生地、お召しになっていると肌との接触面が少なくて涼しくお召しになれるのではないでしょうか。

 

着物の染め替え

まず、着物は染める前に、解きハ縫い洗張りをして1枚の反物の状態にしなければなりません。
それから染めの加工に入ります。

染めには2種類あります。

1つは浸け染め(焚き染め)。
反物をそのまま染料に浸けこんで染めていきます。
主に色無地での加工となります。

もう1つは引き染め。
反物を伸子針で張り、刷毛で引いていくという作業になります。
主に付下や訪問着の柄のある着物での加工です。
もちろん手間がかかりますので金額も丸染めに比べると高額になります。

着物の柄をそのままにしたい場合は、柄の上に糊置きをして色が入らないようにします。
糊置きの説明→千總のサイト
こうして色を入れたくない所には糊を置いて防ぐ事が出来るのです。

金額の話で恐縮ですが、糊置きをする場合、柄の大きさで決まるわけではないのです。
例えば江戸褄の様に裾に柄が大きくひと塊りになっている方が手間がかかりません。それよりも、細かい柄、例えば露芝の様な細い線が全体に沢山あるなどの方がかなり手間も時間もかかります。
要は手間と時間に比例して金額が上乗せされてくるのです。

白地 紬

【東京都 葛飾区在住 H様】

いつもお仕立てをご依頼頂いているH様、ありがとうございます。
白い紬に青の細縞が入っていて、すっきりとした印象。所々に入った紬独特の節が良いですね。
全体にシミがありましたがシミ抜きで殆ど分からない位に綺麗になりました。

  

桜吹雪 訪問着

【東京都 江東区在住 Y様】

前回アップした総絞り訪問着と同時にこちらのお仕立ても依頼して頂きました。
夜桜が風に舞い散る情景がとても豪華に描かれています。

桜は日本を代表する花ですが、よく「桜の咲く季節しか着れませんか?」と質問されます。
基本的には桜に限らず、季節物は先取りが粋とされます。桜が満開の時に桜の着物を着るのは少々野暮かもしれません。
ですが「桜の着物を来て出かけましょう!」という機会があった場合、それが桜の終わりかけの時期だったとしてもお断りするよりもその状況に合わせてお召しになって頂く方がかっこいいでしょう。

日本料理にも “先取り” “旬” “名残” がある様に、季節感を楽しむ(感じる)という事が日本人の素晴らしい所だと思います。
季節を考えながらお着物や帯を選んでいくのも楽しいものです。

 

総絞り訪問着

【東京都 江東区在住 Y様】

総絞りの訪問着です。
総絞りは色が単色であるにも関わらす、とても豪華に感じるのは着物自体にパワーがあるからに他なりません。
帯あわせによっては、とても華やいだ装いになると思います。

絞りと言うとしなやかな生地を想像しがちですが、意外としっかりしているので縫っていても苦になる事はありません。楽しくお仕立出来たお着物です。

上前柄合わせ部分。

西陣お召し 単衣陣羽織と女物単衣

【神奈川在住 W様ご夫妻】

ご夫婦でお着物をお召しになられるって素敵ですね。私もたまにお着物でご一緒させてもらったりしています。
今回はそんな夫婦仲睦まじいご夫妻のお着物をご紹介させて頂きます。

今回は、ご主人の単衣の陣羽織と奥さまの単衣。
2枚とも西陣お召しでお仕立しました。少し凹凸がある生地は着ていても気持ちよさそうです。
ご主人の羽織の方は2枚の生地で仕立てています。無地と柄部分を組み合わせてお仕立しました。

以前、羽織のお仕立てでハギについてお話しさせていただきましたが、デザインとして捉えると良い一例です。
あとは考えなくては行けない事は生地の相性。かなり大切です。

奥さまの単衣は菜の花の様な柔らかい黄色。
晩春には蝶々の様に、初秋には菊の花のイメージでお召しになってもいいかもしれませんね。そういう風に考えるとコーディネイトも楽しくなります。

西陣お召し証紙。

立涌柄 江戸小紋

【東京都 江東区在住 U様】

立涌柄の江戸小紋です。縮緬のアンティークですが、昔の物はやはり生地が薄いです。その為、胴裏の白地と八掛の境目が表から透けない様に胴裏を染めた物を使いました。
白の胴裏とぼかしの八掛でももちろんOKです。

陣羽織

【茨城在住 F様】

男物の陣羽織です。
羽織との違いは
・袖が無い
・衿を反さない
・マチ上が付く
・肩山下がりを付ける

普通の羽織は衿を反して着るのですが、これは返さないように仕立てています。仕立て方が違うのでこれは先に指定して頂ければどちらでも可能です。
マチは付けますが、男物には普通マチ上の幅がありません。幅を付けたのは強度の問題と、ゆったり着て頂くための工夫です。
肩山下がりというと難しいですが、肩のラインに沿うように肩山を縫ってあります。紬の様な硬さのある生地は、裃の様に肩に沿わず浮いてしまう可能性があります。

袖の無い羽織は“御隠居さん”みたいなイメージがあるかもしれませんが、男性が着流しで着るのはちょっと気恥ずかしいという時に便利だと思います。

マチ上部分。

辻が花風 付下

【東京都 目黒区在住 H様】

辻が花風付下です。
詩吟をやっていらっしゃるという事で、お着物をお召しになる機会も多いそう。娘さんも同じく詩吟をされていて、しかも大会では上位に入る腕前なのだとか。TVにも出たそうです。
娘さんと二人でいらして頂きましたが、とても仲がよさそうで、私も楽しくお話しをさせていただきました。

上前柄合わせ部分。

縞文様 羽織

【東京都 江東区在住 S様】

縞文様の羽織をお仕立しました。こちらは反物の幅が狭く、袖幅にハギを入れてお仕立しました。縞や横段など、線の模様になっている物は、共布で接ぐと殆ど分かりません。一番目立ってしまう物は無地のものですが、ハギ布の色を変えてしまうなど逆にそれをデザインにしてしまう事も出来ます。