8月2014

和傘文様 浴衣

【杉並区O様 和傘文様 浴衣】

何とも涼しげな和傘文様の浴衣です。
最近は古典柄の文様が少なくなっておりますが、こういう文様を見るとなんだか落ち着きます。
今ではすっかり夏に着るイメージが定着してしまいましたが、伝統芸能をされる方にはお稽古着、そして本来は寝間着でもあります。
明治の生まれだった私の祖父は年間通して浴衣が寝間着でした。
時代と共に着衣の環境が変わってしまったのでそれはしょうがない事ですが、花火大会に浴衣を着るのも今では季節を楽しむ1つなのだと思います。
今年は自宅のマンションに住む方が、花火大会に浴衣を着ていく姿を何度か拝見しました。
そういう姿を見るだけでもなんだかうれしくなってしまいます。

 

小千谷縮 替え袖長襦袢

【港区K様 小千谷縮 替え袖長襦袢】

単衣の長襦袢用としては長さがあり、替え袖をもう1つ作ることができました。
K様は袖丈1尺3寸(49㎝)と1尺4寸(53㎝)の2枚をお持ちですので、2つに合わせられる様にお袖を付け替えられる長襦袢をお仕立しました。
2部式ではよく見かけるタイプ(うそつき襦袢)ですが、裄の長さが色々ある方は替え袖にするだけでも長襦袢に困らないと思います。

替え袖を取った状態↓

宮古上布 菱形文様

【港区K様 宮古上布 菱形文様】

前回と同じく、港区K様の宮古上布です。
今回はざっくりと菱形文様と書いてしまいましたが、沖縄で”花”と呼ばれる文様なのではないかと思います。
“花織”と言われるこれも沖縄の文様を思い浮かべていただくと分かるかと思いますが、五ツ花、八ツ花などあるそうです。
“花”の組み合わせによっての意味もあるという事なので、読み解くのはかなり難解。
こんな細かい文様を一反織るのにどれだけの手間と時間がかかるのでしょう。
初めて宮古上布を織ると一年かかかると言いますが、一年で織れればいい方なのではないでしょうか。

 

風車(カジマヤー)文様 宮古上布

【港区K様 風車(カジマヤー)文様 宮古上布】

沖縄には独特の文様がありますが、これは”カジマヤー”と呼ばれる風車文様だと思われます。
麻の生地に風車とは更に涼を呼びそうな相性です。
宮古上布と言えば、藍に白絣というイメージになりがちですが、これは江戸好みを反映したものだそう。
それ以前は、黄色や茶系の生地もあったという。
その様な生地は、とっくに資料として保存されているだろうけれど、見てみたいと思うのは私だけでは無い筈です。
どこの反物もそうですが、時代背景などによって形を変えていっていることが分かります。

 

男物 小千谷縮

【大田区I様 男物 小千谷縮】

男物の小千谷縮をお仕立てさせていただきました。
I様には仮仕立ての際にいらしていただき、身丈や身幅などを確認させていただきました。
仮仕立ての時にも思いましたが、白い小千谷はすっきりしていてとても爽やかです。
これに、お持ちの黒の紗羽織を羽織られるとおっしゃっておりましたので、素敵に着こなして下さいね。
歌舞伎がお好きなI様ですので、八月歌舞伎も着物で楽しまれたことと思います。

ご一緒にお仕立した長襦袢↓

 

男物 浴衣

【大田区K様 男物浴衣】

阿武松部屋の親方がデザインしたという土俵のモチーフ。
相撲部屋の浴衣というと、藍と白のいわゆる古典柄を想像してしまいますが、お話を聞くと親方自身、絵を描くのがお好きなのだそうです。
この土俵のモチーフもなんだかユニーク。
こういう浴衣は縫っていてもとても楽しく感じられます。

引き取りにいらして下さった時に、簡単に羽織っていただいたのですが、男物の角帯ではなく女物の半幅帯を締めておられました。
女物でも男性が締めてもおかしくないような柄は沢山あります。
『これは女物、これは男物』と言われてしまうとその様に使ってしまいがちですが、それにこだわる事はないのです。
こちらの浴衣には、珊瑚色に朱赤の一本独鈷の帯を合わせていて、それもよくお似合いでした。
実際にお相撲さんはその様にされる方が多いそうです。
また1つ、いい知識をいただきました!

綿麻単衣仕立て

【目黒区K様 綿麻単衣仕立て】

万華鏡を覗き見る様な楽しげな文様の単衣のお着物です。
綿麻ですので、盛夏だけでなく単衣のまだ暑い時期にお召しいただいても問題ないと思います。
半幅帯も八寸帯もどちらもどーんと受け止めてくれるお着物だと思います。
夏の陽射しを反射しながら街を歩く姿をなんとなく想像してしまいました。
色々な着こなしを楽しんで下さい!

 

雲取に鳳凰文様 振袖

【世田谷区M様 雲取に鳳凰文様 振袖】

ご依頼いただいた時はお母様とご一緒にお嬢様もいらしてくださいました。
お母様がお召しになったお着物をお嬢様様にお仕立て直しさせていただきましたが、洗張を既にされていたのでシミや汚れも無く、とてもきれいな状態でした。
こうやってお嬢様に受け継いでいけるという事は素晴らしい事だと思います。

お振袖は全面に雲取文様、そして鳳凰が描かれとても豪華なお着物です。
もう1枚お振袖を新しくお仕立てされるという、何とも羨ましいお嬢様。
成人式にはどちらをお召しになるかはまだ未定だそうですが、写真撮りと成人式で違うお着物でもいいのではないでしょうか。
披露宴にも出席出来ますし、今は結婚式でお色直しでお召しにる方もいらっしゃいます。
素敵に着こなしてくださいね。

  

ご一緒にご依頼いただいた長襦袢です↓

生紬 単衣仕立て

【世田谷区N様 生紬】

証紙(織出し)を見ると座繰とあります。
座繰とは歯車のついた(中にはついていないものもあります)糸巻で糸を紡ぐ機械です。
ネット検索すると画像が出てきますので、興味のある方は検索してみてください。
この生地がとてもハリがあり、縫うのにも根気が必要でした(笑)
生紬とは精練をあまりしない紬糸を使って織った生地という事になりますが、それがこの生地の味わいとして出ているのでしょう。
素朴ですが、紬本来の感触がある様に思います。
『一昔前の結城紬もこの様な感触だったのかも。』そんなことを思いながら縫っておりました。

N様には合わせる帯のご相談も受けましたが。
許容範囲の広いお着物ですが、『普通に合わせるよりも個性的な帯を合わせた方がN様にお似合いになると思います。』
とアドバイスさせていただきました。長く楽しんでいただきたいです。