お仕立物

アンティークの振袖を訪問着へお仕立て直し

【神奈川県海老名市S様 アンティーク訪問着】

振袖のお着物を短いお袖の訪問着にお仕立て直しをいたしました。
本来は下記の振袖です。

ただお袖をそのまま短くすると、袂の柄が全てなくなってしまいます。
そこで、袖山を回して左前袖と右後袖に華やかが柄を持ってくるように配置。
S様のお袖丈は長めの60㎝をご希望でしたので更に華やかな印象になります。

そこで問題になるのが、家紋。
元々は5ツ紋でしたので抱き(胸)紋とお袖の1部分に残ってしまいます。
これを隠す為には、上から柄を足すか、刺繍を入れるという方法があります。
ですが、柄を足してしまうとそこだけ顔料の固い感じが残ってしまいますので刺繍をおすすめいたしました。

抱き紋の上に刺繍を入れました

他にお袖に残っていた紋の上にも刺繍を入れてあります。
右袖の真ん中少し下の万寿菊が刺繍です

お客様と確認を取りながら進めていきますので、勝手に進めてしまう事はありません。
どうしても取れないシミに刺繍を入れる事もありますが、1か所に入れてしまうとそこだけ浮いた感じになる場合もありますので、バランスを見ていくつか入れる事もあります。

こうして違う形で蘇ったお着物をお召しいただける事が、お客様と私にとって1番の喜びだと思っております。