3月2015

御召 単衣仕立て

【目黒区A様 御召 単衣仕立て】

こちらも前回と同じく、目黒区A様のお仕立物です。
爽やかな春らしい薄桃色の御召を単衣仕立てにお仕立いたしました。
御召は紬と柔らか物のちょうど中間位の肌触りでシワにもなりにくい素材です。
こちらは単衣のお着物ですが、御召でコートをお仕立てすると紬と柔らか物のどちらにもお召しいただけるという優れものです。
東京では御召というとあまりピンとこない方も多いと思いますが、関西(京都)で無地の御召というと東京でいう色無地感覚に近いのだそうです。
そういえば、東京では殆どの方が色無地をお仕立てされますが、御召は少ない様に思います。
まだ、自分用に仕立てた事はないですが誂えてみたい生地の1つです。

 

結城紬 

【目黒区A様 結城紬】

こちらは染の結城紬です。
更紗文様の様な、エキゾチックな文様が描かれています。
個人的にも更紗文様は大好きな文様で、インド更紗などは特に心惹かれる物があります。
結城紬にこの様な柄が描かれるのは珍しいのではないでしょうか。
画像はありませんが、胴抜き仕立てでお仕立てしております。
結城紬は胴抜きでも暖かいです。

  

男物色紋付 

【中野区K様 男物色紋付】

男物の色紋付のお仕立です。

K様が白生地を購入され、私の方で紋入れと染の方から加工に出させていただきました。
生地は純国産の一越縮緬、裏地の羽二重も純国産の羽二重をご用意くださいました。

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純国産と国産では何が違うかご存知でしょうか?
簡単に言いますと、純国産は養蚕から日本産。
国産は輸入の絹糸を使用し、織だけ日本で行った物です。
ちなみに、純国産の絹糸はわずか1%ですので、どれだけ貴重な物かお分かりになると思います。
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表地と裏地両方を共色のグレーに染め、紋は『丸に九枚笹に五三の桐』という珍しい紋でしたので、紋の型紙から作成。
羽織は五ツ紋、着物は三ツ紋を入れ、衿比翼をお付けしました。
男性で正装の紋付をお誂えなさる方も少なくなってきておりますが、同じお着物でも普段着とはまた違うお気持ちになると思います。
“自分の為に着る”
“相手の為に着る”
洋装でも和装でもTPOは同じです。
相手の為に着る場合はTPOを重視して下さい。マナーとは相手の為にあるものだと思います。

後日、紋付袴のお写真を送っていただきましたが、晴れの日にふさわしい素敵なお写真でした。
ありがとうございました!

    

『かたち21』よりご依頼 中野みどり氏作 一崩し 紬

【『かたち21』 よりご依頼 中野みどり氏作 一崩し 紬】

工芸美術の企画をしておられるかたち21より染織家・中野みどりさん作の紬のお仕立のご依頼がありました。
中野さんは染織作家の故宗廣力三氏に師事、今はご自身の工房で制作をされています。
『一崩し』は中野さんの作品の中で何度も制作されている定番の柄(織)なのだそう。
中野さんにお会いしてお話をさせていただいた事もありますが、草木染の優しい色合いと生地の柔らかさが中野さんご自身を表しているように感じました。
作家の人柄は作品に現れるものです。
こちらは胴抜き仕立てにお仕立しましたが、優しい暖かさを充分に感じられるお着物だと思います。

中野みどり氏のWebサイト→中野みどり・櫻工房

  

十字絣 結城縮

【町田市U様 十字絣 結城縮】

十字絣の結城縮をお仕立ていたしました。
こちらは洗張からさせていただいたのですが、もうかなりお召しになっているようで、とてもいい感じに柔らかくなっておりました。
お着物を水で洗うという事は(基本的には)解いた時にしかしない事ですので、なるべく洗う事をおすすめいたします。
着物の形で行う丸洗い、生洗いはドライクリーニングですので、水溶性の汚れは落ちません。

U様は普段にお着物をお召しになる方なので、衿はバチ衿です。
家にいる時は半幅帯でお昼寝もなさるのだそう・・・
結城を普段使いになさるなんで今ではなかなか考えられない事ですが、U様はいらして下さる時も殆どお着物姿です。
気取らず自然体のU様は本当に素敵だなといつも思っております。

  

亀甲文様 羽織

【杉並区S様 亀甲柄 紬 羽織】

亀甲文様と書きましたが、私の中では蜂の巣のハニカム構造を連想しておりました。
もちろん亀甲もハニカム構造ですが・・・
S様はご自身で生地を洗って持ってきてくださいます。
一昔前までは、普段着は自分で洗う事が当たり前でしたが、今はそんなことも少なくなりました。
自分で洗うというのは何よりも気持ちがいいものです。
S様は着物探しも楽しんでいらっしゃいますし、何よりご自身の着物のスタイルが確立していらっしゃいます。
これからもご自身の楽しみ方を貫いていってほしいと思っております。

雪輪に芝文様附下

【さいたま市N様 雪輪に芝文様附下】

こちらの附下も前回と同じく、さいたま市のN様のお着物です。
羽織のご依頼の後に気に入って購入されたそうで、後日送っていただきました。
淡い卵色の様なお色でしたので、胴裏との境目が目立たない様にぼかしの八掛、若干からし色に近いお色を選ばせていただきました。
こちらの附下は礼装用というよりも、おしゃれ着に近い物ですので、式典やあらたまった席でお召しになるというよりも気軽にお召しいただけるものです。
お食事や観劇などに、どんどんお出かけいただきたいと思います。

   

亀甲繋ぎ文様 羽織

【さいたま市N様 亀甲繋ぎ文様 羽織】

橙色の地色に亀甲繋ぎの文様が描かれた反物を羽織にお仕立させていただきました。
最初はお着物になさりたかったという事でしたが、反物が羽尺でお着物にはならない長さでした。
羽尺でも短めでしたが羽裏を長くとり長羽織にお仕立いたしました。
柄の横並びがずれない様にお仕立てしましたので、見た目もすっきりと美しくなりました。
これからの季節はコートではなく、羽織の出番です。
季節の文様ではないので、長くお召しいただけると思います。

 

墨流し文様 結城紬

【世田谷区K様 墨流し文様 結城紬】

以外にも墨流しの様な文様は柄出しが難しかったりします。
というのも、背縫いなどで柄を合わせて見てみると、思いもかけない形を作り出してしまう事があるのです。
もちろん、背縫いだけではなく、脇、上前などもそうです。
この美しい流れを壊さぬように柄合わせを考える事も着物を仕立てるのに重要な事です。
せっかくお着物をお誂え頂くのですから、少しでもベストな柄の配置でお召しになっていただきたいと思っております。

  

男物ホームコート (上着)

【江東区K様 ホームコート】

ホームコートと書きましたが、ご自宅でさっと羽織れる上着というご依頼。
アンサンブル用の反物で単衣と袷の各1枚ずつお仕立ていたしました。
メールでご連絡をいただいた時は『なんとなく出来るかな』という思いでしたが、念の為に見本を送っていただき,お仕立てする事になりました。
見本とまるっきり同じでなくていいという事でしたが、ポケットを付ける、後ろにスリットを入れて欲しいというご希望がありました。
コートにはやはりポケットが欲しいですよね。
袷は脇に、単衣は前身頃に縫い付け、内ポケットはそれぞれについております。
お出かけ用ではなく、ご自宅でお召しになるそうですが、こちらを羽織ってご近所にも出かけられたりするそうです。
日常使いでお着物をお召しになる方、とても素敵だと思います。