6月2015

附下

【マレーシアN様 附下】

マレーシアにお住まいのN様。
年に何度かは海外にお住まいの方からのご依頼があります。
今回の様に海外発送の方もいらっしゃれば、帰国した際に受け取り希望の方もいらっしゃいます。
お問い合わせがあった国としてはアメリカ、アフリカ、マレーシアなど本当にネットは世界につながっているのだと実感します。

N様とはLINEでやり取りをしましたが、採寸が出来ないためにご自身でサイズを測って頂いたのはもちろんですが、着用時のお写真も送っていただきました。
画像がある事で身幅などを決める時にはとても参考になりました。
こうやって簡単にやり取りが出来る様になっていることもすごい事です。

洗張りからお仕立てまでをさせていただき、仕立て上がったらお送りするというところまでは日本のお客様とは同じです。
後は発送のみ。

無事に届くようにと送りましたが、ちょっとしたトラブルも・・・
この商品は商用ではないかという事で、マレーシアの税関で止められてしまうという事態が発生。
N様にはお手数ながら税関まで足を運んでいただく事になってしまいましたが、無事にお手元に届いたというお知らせをいただきました。
秋にはロンドンのご実家に行かれるそうで、このお着物でオペラ鑑賞などされるそうです。

 

大羊居 訪問着

【大田区K様 大羊居 訪問着】

大羊居の訪問着のお仕立です。
K様はとても細いので、柄を合わせると身幅がかなり大きくなってしまいます。
今回、脇の柄は横並びを揃える事で殆ど柄合わせに近い柄になりましたので、身幅優先でお仕立いたしました。
共八掛がついておりましたが、色がお好みではなかったという事で、共に近いお色の八掛を付けております。

大羊居は江戸から続く友禅の老舗ですが、今もその華やかで品のある作風のファンの方は多いです。

  

浴衣3枚

【世田谷区S様 浴衣】

盆オドラーのS様。
浴衣を3枚お仕立いたしました。
先月、お直しを含めて先に2枚お渡ししております。

他の所でお仕立した時に、以前私がお仕立した浴衣を持っていき採寸してもらったのだそうですが
「こんなに小さくて大丈夫ですか?」と言われたそうです。
和裁士が採寸するのと、店舗の販売員が採寸するのではかなりのズレがあるのでしょうね。
大きいと着にくいという事はお着物を着慣れてている者なら皆分かっていると思うのですが・・・

さて、S様は佐渡の相川音頭という古くから伝わる盆踊りを見てこられたのだそう。
主に男性が踊り、拡張高い雰囲気の踊りだという事ですが、この盆踊りの存在を知ったのは初めてでした。
有名なところでは秋田の西馬音内の盆踊りや、越中八尾のおわら風の盆などがありますが、盆踊りとは本来こういうものなのかなと思います。
全国には伝統的な盆踊りがまだまだありそうです。

久留米絣

【大田区W様 久留米絣】

単衣仕立ての久留米絣です。
私も好きな藍染のお着物です。最初に水通しをしましたが、色落ちもそれほどありませんでしたので気にせずに楽しめると思います。
藍のお着物は仕立てているときも藍の匂いがします。
独特の少し発酵した匂いですが、私は好きな匂いです。

お仕立の方ですが、柄は横並びが崩れない様にと、前身頃はなるべく柄を合わせました。
こちらのお着物に限らず、上前は柄を合わせるようにしています。

 

花文様 紗合わせ

【港区H様 花文様 紗合わせ】

紗合わせのお仕立物です。
あまりお仕立する機会がないお着物の1つに紗合わせがあります。
お召しになる時期が限定されるので、なかなかお仕立てされるには至らないのではないでしょうか。
最近は着物の柄により、秋にもお召しになっても構わないという様におすすめするところもあるようですが、私個人の感想としては秋にお召しになるには少し寒々しい印象を受ける様に思います。

紗合わせは紗と紗、紗と絽でお仕立てする事が出来ます。今回は紗と紗です。
紗合わせは附下が多いですね。
小紋でお仕立ても出来ますが、気軽にお出かけという印象にはならないので実際には小紋には不向きなのかもしれませんね。

 

竹田庄九郎 絞り染 紬単衣

【世田谷区N様 竹田庄九郎 絞り染 単衣】

こちらは紬地の絞り染になります。
紬というと少し地厚で固い様なイメージがありますが、とても柔らかく涼しげで単衣の着物に仕立てましょうという事になりました。

平縫い巻き上げ絞りと鹿の子絞りで染められ、地色のグラデーションといいとても爽やかに感じます。
絞りも麻と同じく、体に触れる接地面が少なくなるので、紬のお着物ですが涼しく感じられると思います。

こういう柄のお着物は配置に苦労します。
市松などが良い例なのですが、市松の配置を考えるのは小紋と言えどそう柄合わせと同じ苦労があります。
こちらは一つの横段をずらすと全体がかなりずれるので、どの位置にどの色を出すのかが悩みどころです。
丈(長さ)もありましたので背、脇、衽、袖付け、衿付け全てに色が重ならずに配置できました。