着物の加工

男物色紋付 

【中野区K様 男物色紋付】

男物の色紋付のお仕立です。

K様が白生地を購入され、私の方で紋入れと染の方から加工に出させていただきました。
生地は純国産の一越縮緬、裏地の羽二重も純国産の羽二重をご用意くださいました。

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純国産と国産では何が違うかご存知でしょうか?
簡単に言いますと、純国産は養蚕から日本産。
国産は輸入の絹糸を使用し、織だけ日本で行った物です。
ちなみに、純国産の絹糸はわずか1%ですので、どれだけ貴重な物かお分かりになると思います。
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表地と裏地両方を共色のグレーに染め、紋は『丸に九枚笹に五三の桐』という珍しい紋でしたので、紋の型紙から作成。
羽織は五ツ紋、着物は三ツ紋を入れ、衿比翼をお付けしました。
男性で正装の紋付をお誂えなさる方も少なくなってきておりますが、同じお着物でも普段着とはまた違うお気持ちになると思います。
“自分の為に着る”
“相手の為に着る”
洋装でも和装でもTPOは同じです。
相手の為に着る場合はTPOを重視して下さい。マナーとは相手の為にあるものだと思います。

後日、紋付袴のお写真を送っていただきましたが、晴れの日にふさわしい素敵なお写真でした。
ありがとうございました!

    

色無地 染め替え

【港区O様 色無地 染め替え】

色無地の染め替えをさせていただきました。
何年か前にご相談を受け、今年になり染め替えをさせていただきました。
お直し前の色無地は濃いめのピンク色。そして少々シミがあり、染め替えを提案させていただいたお着物です。
下の画像が染め替え前のお色です。
薄い卵色をご希望でしたので、O様とご相談の上、今回のお色に決定いたしました。
優しい雰囲気の上品なお着物に変わりました。

お直しにかかった金額は下記になります。
※お着物の状態により、加工の金額が変わる場合もあります。

解き              2500
洗張り(表地のみ)     4500
色抜き            5000
染め替え (表地のみ)  10000
蒸し水洗い          3500
小紋お仕立て代      22000
合計             47500円

このお着物は紋入れ直しもさせていただきましたので、プラス10000円になっております。            

  

色無地 1ツ紋(片喰 かたばみ)

【世田谷区T様 色無地 単衣】

お客様のお持ちの白反から染めさせていただきました。
光の加減と織りの違いもあり、色も様々に変化して見えます。
色見本はお客様から指定していただいた生地をそのまま染屋さんにお渡しして染めていただきました。

そして、1ツ紋を入れたいという事でしたので今回は少し変わったグラデーションの縫い紋を入れました。
上からオフホワイト、ローズ色のグラデーション。金糸を少し散らしてアクセントにしています。
どちらかと言うと、しゃれ紋の用途でお使いいただければと思います。
紋は丸に片喰です。

浸け染    10,000円(※染め代以外に加工代が付く場合があります。)
紋入れ    10,000円

白の反物がありましたら、自分の好みのお色に染めてお仕立てするのも面白いと思います。

 

お直しで寸法を大きくする場合

お直しをする場合、小さくする分には問題ないのですが、大きくしなければならない場合は色やけやスジが出るかどうかが問題になってきます。
古いお着物の場合は特に注意が必要です。

ヤケやスジを直す加工代 (別途、お直し代が必要)
裄の場合 4000円~
身幅    8000円~

もちろん、大きくするためにはその分の縫い代が入っていなくてはなりません。
袷の場合は表地の縫い代があっても、裏地が足りない場合もあります。
訪問着など柄合わせのあるものは、柄が合わなくなったり柄が途中で無くなってしまう事もあります。
そのような場合はお客様とご相談しながら決めていきます。

加賀友禅色留袖 比翼付き 

【目黒区 H様 色留袖】

叙勲式にお召しになる加賀友禅色留袖の比翼付きをお仕立させていただきました。
そのようなお仕立物をさせていただくのはうれしいですね。

さて、皇室関係のお祝い事の第一礼装は黒留袖ではありません。
黒色は喪服でのみ使用されるそうです。
本来は5つ紋が正式ですが、最近では3つ紋でも問題ないとの事。
紋入れもこちらで承れます。今回は下がり藤を日向紋でお入れしました。留袖は殆どが日向紋です。
・紋入れ1つ紋 10000円~
・紋入れ3つ紋 21000円~
・紋入れ5つ紋 30000円~

加賀友禅は金糸や箔が入ることなくどちらかと言うと控えめな色使い。
絵画の様に描かれているのが特徴です。

色留袖は親族の結婚式などでお召しになれます。
その場合は3つ紋以上。
紋を入れない場合、訪問着と同格になります。実際に色留袖に紋を入れないでお仕立する事はよくあります。
その場合、比翼は付けません。
訪問着仕立てにされる場合は親族の結婚式での着用は出来ませんが、ご友人の結婚式なら着用出来ます。(本来の訪問着と一緒です。)

  

余談ですが・・・
皇室の方々は伊勢神宮などを訪問される場合は礼服です。
女性ですとローブデコルテと言われるドレスをお召しになります。
ですから神宮などにお参りをする際は、本来ならば正装をするのが好ましいのです。

着物の染め替え

まず、着物は染める前に、解きハ縫い洗張りをして1枚の反物の状態にしなければなりません。
それから染めの加工に入ります。

染めには2種類あります。

1つは浸け染め(焚き染め)。
反物をそのまま染料に浸けこんで染めていきます。
主に色無地での加工となります。

もう1つは引き染め。
反物を伸子針で張り、刷毛で引いていくという作業になります。
主に付下や訪問着の柄のある着物での加工です。
もちろん手間がかかりますので金額も丸染めに比べると高額になります。

着物の柄をそのままにしたい場合は、柄の上に糊置きをして色が入らないようにします。
糊置きの説明→千總のサイト
こうして色を入れたくない所には糊を置いて防ぐ事が出来るのです。

金額の話で恐縮ですが、糊置きをする場合、柄の大きさで決まるわけではないのです。
例えば江戸褄の様に裾に柄が大きくひと塊りになっている方が手間がかかりません。それよりも、細かい柄、例えば露芝の様な細い線が全体に沢山あるなどの方がかなり手間も時間もかかります。
要は手間と時間に比例して金額が上乗せされてくるのです。