夏物

上布2枚

【目黒区K様 男物上布と女物宮古上布】

K様ご夫妻の上布2枚のお仕立物です。
8月の青森ねぶた祭りを見に行かれるそうで、その際にご着用されるという事でした。

ご夫婦でお着物をお召しになる方、実は割と多くいらっしゃいます。
そして皆様、とても仲が良いのです。
同じ趣味を持ち、着物を着て、色々なところへ出かけられるのでしょう。
『仕立屋 凛』にもご夫婦でご相談に来られる方、沢山おられますが、どこのご夫婦のも奥様が主導権を握っていらっしゃる様に思います(笑)
そこも共通項ですね。

 

 

蔦の葉柄 麻絞り着物

【川崎市E様 蔦の葉柄 麻絞り着物】

麻の絞り染めのお着物です。
よくある事なのですが、絞り染めのお着物には、絞った時に括った糸が付いていることがあります。
このお着物についておりましたが、お渡しする際は取ってからお渡ししております。

蔦の葉文様ですが、着物の全体像を見ると夏空の様に感じました。
夏の青空に白い雲と言った、まさに盛夏にお召しになるのが楽しくなるようなお着物に出来上がったと思います。

 

紗羽織 柳に燕文様

【大田区K様 紗羽織 柳に燕】

昔からの習慣で夏も羽織が欠かせないとおっしゃるK様。
こちらの羽織は紋紗の柳の葉の上に燕の刺繍があしらわれています。

着物だけでも暑いと思われる方も多いと思いますが、なぜか紗羽織をお召しになった方を見ると涼しげに感じます。
見ている人にも涼しさを提供する事が出来るのも、着物の機能美なのでしょう。
羽織だけ見ているよりも、お召しになった時の方がとても涼しげでしょうね。

雪華刺繍 麻附下

【雪華刺繍 麻附下】

刺繍士 飯島桃子さんによる刺繍の附下です。
5月に行われた三渓園での日本の夏したく展で販売されていたお着物で、刺繍だけではなく藍染も彼女が行っております。
夏着物に冬の文様を入れて涼を呼ぶ図案は昔からありますが、藍染と雪華の刺繍が本当に涼やかに感じます。
このお着物でしたら暑い日差しの下でも苦にならずに楽しく過ごせそうですね。

  

花文様 紗合わせ

【港区H様 花文様 紗合わせ】

紗合わせのお仕立物です。
あまりお仕立する機会がないお着物の1つに紗合わせがあります。
お召しになる時期が限定されるので、なかなかお仕立てされるには至らないのではないでしょうか。
最近は着物の柄により、秋にもお召しになっても構わないという様におすすめするところもあるようですが、私個人の感想としては秋にお召しになるには少し寒々しい印象を受ける様に思います。

紗合わせは紗と紗、紗と絽でお仕立てする事が出来ます。今回は紗と紗です。
紗合わせは附下が多いですね。
小紋でお仕立ても出来ますが、気軽にお出かけという印象にはならないので実際には小紋には不向きなのかもしれませんね。

 

小千谷縮

【目黒区K様 小千谷縮】

こちらも前回と同じく目黒区K様。
夏の定番、小千谷縮のお仕立物です。
全体像を見ると様々な生地を繋げた切継ぎのお仕立物にも見えますね。
画像にはありませんが、上前の衿元に白地を持ってくる様ご希望がありましたので、その様にしております。
お仕立て前には色々と注文を付けてください。
柄出しにも注文が付けられますので、ご希望がありましたらどんどんお知らせください。

 

綿麻 単衣着物 

【目黒区K様 綿麻単衣 水玉文様】

お召しになるのはもちろんまだ先ですが、綿麻のお着物です。
紺地に大き目の水玉が雪の様にも見えますが、夏の紺色は涼しげに見えるから不思議です。
単衣なんてまだ先の話・・・なんて思っていると、すぐにシーズン到来です。
仕立屋 凛でもいくつか夏のお着物のご依頼はきております。
お着物を誂えるにはせめて2か月位の余裕があった方が良いのです。
そこに、加工などが入ると更に時間がかかってきますので、早め早めに準備をしていただきたいです。

 

紅葉文様 絽小紋

【世田谷区H様 紅葉文様 絽小紋】

9月は単衣の時期となりますが、絽は9月中旬頃までお召しになれます。
今夏は夏の名残を楽しむというよりも、一気に涼しくなってしまいましたので透け感のある生地は少し涼しすぎる感じもありますが、それでもまだ日が差せば汗ばむ陽気です。
季節の変わり目はお召し物に迷うところですが、そこは臨機応変にいきたいところ。
紅葉の文様は先取りの秋で、まさに今の時期にお召しいただきたいお着物です。

 

宮古上布 菱形文様

【港区K様 宮古上布 菱形文様】

前回と同じく、港区K様の宮古上布です。
今回はざっくりと菱形文様と書いてしまいましたが、沖縄で”花”と呼ばれる文様なのではないかと思います。
“花織”と言われるこれも沖縄の文様を思い浮かべていただくと分かるかと思いますが、五ツ花、八ツ花などあるそうです。
“花”の組み合わせによっての意味もあるという事なので、読み解くのはかなり難解。
こんな細かい文様を一反織るのにどれだけの手間と時間がかかるのでしょう。
初めて宮古上布を織ると一年かかかると言いますが、一年で織れればいい方なのではないでしょうか。

 

風車(カジマヤー)文様 宮古上布

【港区K様 風車(カジマヤー)文様 宮古上布】

沖縄には独特の文様がありますが、これは”カジマヤー”と呼ばれる風車文様だと思われます。
麻の生地に風車とは更に涼を呼びそうな相性です。
宮古上布と言えば、藍に白絣というイメージになりがちですが、これは江戸好みを反映したものだそう。
それ以前は、黄色や茶系の生地もあったという。
その様な生地は、とっくに資料として保存されているだろうけれど、見てみたいと思うのは私だけでは無い筈です。
どこの反物もそうですが、時代背景などによって形を変えていっていることが分かります。