琉球絣 単衣仕立て

【杉並区S様 琉球絣 単衣仕立て】

琉球の海の様なお色のお着物です。
自然の物をモチーフにしているとすれば、やはり海の色を表しているのではないかと思います。
衣紋にかけて見ると、青の濃淡がとても美しく見えました。

琉球絣というと燕や井桁の柄ではなく、よく見てみれば琉球絣というところが気に入っているとの事でした。
しっかりと地厚な生地でしたので、少し肌寒い頃にちょうどよさそうです。

 

夏結城 暈し附下

【世田谷区K様 夏結城 暈し附下】

暈しの附下、夏結城のお仕立て物です。
夏結城とは、細い真綿の紬糸と麻糸で織られている生地になります。
紬糸もかなり細い糸を使用しているので織り上げるのはとても難しいという事なのだそう。
その大変さから生産量も少ないという話をお伺いしたことがあります。

それはさておき、淡いお色の暈しが目にも涼しくとても素敵なお着物ですので、短い夏を楽しんでいただきたいと思います。

  

琉球柄の紬 単衣仕立て

【相模原市U様 琉球柄の紬 単衣仕立て】

琉球柄の紬のお仕立物です。
こういった柄にしては珍しくベージュ色のお着物。
ブルーのラインがとても美しく印象的なお着物だと思います。
頂き物だという事なので、U様の身丈には少し足りませんでしたが腰紐の位置を調節していただければ問題無くお召しいただけると思います。

単衣仕立てというのは単に仕立て方というだけで、冬にお召しになれない訳でなく、素材で考えて頂くのが一番です。
例えば、ウール、ざざんざ織、伊兵衛織など地厚の物は冬でも単衣仕立てでお召しになっても全く問題ありません。
結城紬も個人的にお召しになる場合は単衣仕立てでお召しいただけます。
1年中お着物で生活されていらっしゃるお客様は、冬でも単衣仕立てのお着物をお召になっております。

あまり、難しく考えないで楽しんでいただきたいと思います。

 

本場結城紬 草木染の無地 単衣仕立て

【杉並区M様 本場結城紬 草木染の無地 単衣仕立て】

本場結城紬の無地を単衣にお仕立ていたしました。
こちらは桜の草木染だという証紙もついておりました。

和裁の訓練校時代、染色の時間があり、自然にある物で染色をしました。
ブドウの皮、玉ねぎ、紅茶などを媒染を変えて染めたのを覚えています。
媒染で色の出方が変わるのはもちろん、染める時間、温度、水の成分など様々な条件で変わってくるものですので、いつも同じ色に染めるという事は、草木染に求めてはいけないのかもしれません。
染色をお仕事にされている方のご苦労はさぞや大変だろうとお察しいたします。

どんな色でも草木染は美しいなと思います。
自然な色に心惹かれるのは、人間として自然な事なのかもしれません。

  

桑原啓之介作 白大島紬

【世田谷区N様 桑原啓之介作 白大島紬】

本場大島紬、桑原啓之介作の大島紬をお仕立ていたしました。
まるで点描画を見ているような細やかさです。
桑原氏は暈しの表現に定評があり、大島紬ではあまり目にしたことのない柄が多いように感じます。

今回のお着物も笹の葉をモチーフにしているのでしょうか、リボンの様にくるっと巻かれた柄がとてもモダンな印象です。
単衣にお仕立ていたしましたが、N様にお渡しした際は「軽いっ!」を連呼されておりました。
単衣の季節に軽やかにお召しになってください。

N様は身長がお高い事もあって、いつも残り布は殆ど出ません。
今回も上手く柄出しが出来てホッとしております。

  

紬屋吉平 萬代紬 単衣

【大阪府O様 紬屋吉平 萬代紬 単衣仕立て】

大阪からのご依頼ありがとうございます。
遠方の方からのご依頼は大変うれしく思います。

かつて銀座にありました呉服店『紬屋吉平』の反物をお預かりしました。
大阪からのご依頼でしたので、メールでも寸法について少々やり取りをさせて頂きましてお仕立てに至りました。

お着物のお色は紅鬱金(べにうこん)色に近い様に思いますが、『日本の伝統色』には紅鬱金色の説明にこうあります。

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”好色一代男”に
「その暮れ方に、色つくりたる女、はだには紅うこんのきぬ物」
とあるように艶めいた色である。
+++++

なんとも想像力を掻き立てられます。

  

久米島紬 単衣仕立て

【杉並区S様 久米島紬 単衣仕立て】

古着屋さんで反物で購入されたという久米島紬。
反物自体が古いものだと思いますが、触った感触がちょっと変わっています。
というのも縦糸か緯糸に麻が使われているのではないかという事をS様もおっしゃっておりました。
何故麻ではないかと思うのは、少し透けているのと麻の様なシャリ感があるからです。
久米島紬は縦緯共に手紡ぎ糸を使用したものと縦糸に生糸、緯糸に手紡ぎ糸を使用したものはあります。
この反物に麻を使用しているかどうかは不明ですが、若干涼し気であるという事もあり単衣仕立てをご希望。
それと、一昔前の反物にはよくあるのですが丈(長さ)が短いです。
今回は掛衿の下に別布を接いでのお仕立となりました。

 

結城縮 亀甲散らし 単衣仕立て

【町田市U様 結城縮 亀甲散らし】

このお着物を見た時に『これ凄い可愛いですね!』と思わず言ってしまいました。
色合いといい文様といい、私にはツボな文様でした。
元々はお袖にカケハギの跡があり、下前身頃と交換してのお仕立です。
こちらのお着物は洗張から承り、お仕立の際にカケハギ部分はほぼ隠れ、殆ど分からなくなりました。

ほぼお着物で生活しているU様はその日のお天気と相談してお着物をお召しになっているそうです。
お着物だからと言って難しく考える事はありません。
洋服と同じように考えればよいのです。

 

草木染 琉球絣

【江東区I様 草木染 琉球絣】

最近、お仕立物のご依頼の中でも琉球絣を承る事が多いです。
こちらも草木染の琉球絣で、水雲などの文様が描かれております。
琉球絣の文様は自然、人体、器物などを具象化した文様です。
1つ1つの意味が分かれば更に楽しくなると思いますが、私も代表的な文様しか分からないのが正直なところです。

沖縄というとても暑い地域なのに、久米島紬の様な暖かい真綿紬、色鮮やかな紅型、蝉の羽と言われる宮古上布など多種多様な染織がある事に驚きます。
どの工芸もそうですが、後継者が育つことを願ってやみません。

  

竹田庄九郎 絞り染 紬単衣

【世田谷区N様 竹田庄九郎 絞り染 単衣】

こちらは紬地の絞り染になります。
紬というと少し地厚で固い様なイメージがありますが、とても柔らかく涼しげで単衣の着物に仕立てましょうという事になりました。

平縫い巻き上げ絞りと鹿の子絞りで染められ、地色のグラデーションといいとても爽やかに感じます。
絞りも麻と同じく、体に触れる接地面が少なくなるので、紬のお着物ですが涼しく感じられると思います。

こういう柄のお着物は配置に苦労します。
市松などが良い例なのですが、市松の配置を考えるのは小紋と言えどそう柄合わせと同じ苦労があります。
こちらは一つの横段をずらすと全体がかなりずれるので、どの位置にどの色を出すのかが悩みどころです。
丈(長さ)もありましたので背、脇、衽、袖付け、衿付け全てに色が重ならずに配置できました。