仕事の話

着物の標準寸法のお話し

和裁士になる為にまず最初に習う事と言えば、標準寸法。
今の人達の体形からすると、サイズ的にはあっていないと言わざるを得ないでしょう。けれども155センチ、体重47~50kg。一昔前の日本人の平均的な体系、中肉中背のいわば黄金比率の様な物。生地にも負担をかけない(なだらかな直線縫いが多い)、和裁士としては楽に仕立てられるサイズと言ってよい。

着物を仕立てるために必要なサイズと言えば、身長、裄、バスト、ヒップ。
身長と裄は良いとしてバストとヒップから割り出す前幅と後幅。和裁士さんならそれぞれに割り出し方はあるだろうけれども、そこそこ似たような寸法になると思います。ですが、前幅から抱幅の関係。というよりヒップで寸法を測っているにも関わらず身幅に関しては裾の寸法なのです。なぜ腰の寸法で出さないのか?
実際、私たち和裁士が必ず習う標準寸法は前幅(裾の寸法)から抱幅(胸の寸法)にかけて狭くなるのです。基本的に4分~6分。(約1.5cm~2cm)
それがベーシックにある為に(最初に叩き込まれる為)、お客様に言われるまで前見頃のシルエットが台形になっている事に何の疑問も持ちませんでした。前身頃に関しては腰から裾にかけて徐々に広がっているのです。
衽幅にしてもそうです。衽幅から合褄幅にかけて狭くなっているのです。(こちらも裾広がりです。)そうするとどうしても前から見た時のシルエットが台形になってしまう為に美しくないのです。さらに太って見えると・・・女性にしてみたら気になる所ではないでしょうか?
きれいに見えるシルエットとしては裾つぼまりが1番美しいと思いませんか?

+++次回に続く