歌舞伎

11月大歌舞伎 中村芝翫襲名@歌舞伎座

10月から2か月間行われております、中村芝翫襲名披露公演を観に行ってきました。
お客様のN様に6列目の花道側という良席を取って頂き、ご一緒にさせて頂きました。

襲名記念の幕は佐藤可士和氏のデザイン。
猿之助さんの時は福山雅治さんデザインでしたね。→こちら

襲名披露での楽しみの一つでもある『口上』。
仁左衛門さんの正面だったもので、テンションが上がります⤴

先代の芝翫さんは女形でしたが、前・橋之助さんに名前を継いでもらいたいという遺言もあったようです。
大名跡を継いだ新・芝翫さんにこれからも期待しております。

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それにしても今回の夜の部は9時20分までという事で終演時間が遅く、終わったころにはお腹がペコペコに・・・
N様が歌舞伎座近くのビストロを予約していてくださったので、すぐにお食事をいただく事が出来ました。
お食事からN様のご主人も合流し、3人での楽しい時間でお腹も心も満たされました!
N様に全てお手配いただいて本当に感謝です。

私がお仕立てしたお着物姿も拝見できましたので、それにも感謝です。
着姿のチェックもできました!

二月大歌舞伎@歌舞伎座

【因果応報】
本来は、よい行いをしてきた者にはよい報いが、悪い行いをしてきた者には悪い報いがあるという意味だったが、現在では多く悪い行いをすれば悪い報いを受けるという意味で使われている。
仏教の考え方で、原因に応じた結果が報いるということ。
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と辞書にはあります。

何事にも原因があり結果があります。
良い種も悪い種も全部芽が出てくるもので、なるべく良い種を蒔かないといけないなと考えることがあります。
自分を顧みる言葉として、この言葉を時折かみしめたりしています。

【籠釣瓶花街酔醒】
観終わった後、因果応報の言葉がまず頭に浮かんできました。
この演目を観終わった後、余韻が薄れるのが嫌で次の演目を観ずに家路につきました。

佐野次郎左衛を騙した花魁八つ橋は、とても大きな代償を支払う事になってしまいます。
原因があり結果があるという事なのです。

新春浅草歌舞伎@浅草公会堂

本来の冬の気温に戻った東京は寒かった!
朝方は雪がちらついたとニュースで知り、寒い訳だなと納得しておりました。

久しぶりの浅草でちょっとテンションが上がりましたが、やはり外国人多し!
雷門の前は外国語が行き交っており、平日でありながらかなりの混雑ぶりです。

浅草に来たのなら、亀十さんのどら焼きを購入しよう!と心に決めておりましたで、行列必死で購入いたしました。
ですが行列はしていたものの、10分ほどで購入きましたのでそれほど苦にはならず。
平日だからかもしれませんね。

さて、久々の浅草歌舞伎。
前回は何年前だったか・・・現・猿之助さんがまだ亀次郎さんだった頃に観に行ったきりでした。
もう10年前位になるのかしら、と思い調べてみたら13年前の2003年の浅草でした。
そしてその時も今回と同じく、『義経千本桜』の演目がありました。
こういう源九郎狐の様なアクロバット的な要素もある役は若いうちしかできないのだろうなと思います。
それと同じく、きっと年齢を重ねないとできない役もあるはずですし・・・
こうやって見比べる事が出来る様になるのも面白いところです。
只、最後に宙乗りが無いとなんとなく淋しい感じですね・・・

東海道四谷怪談@国立劇場

お客様のN様ご夫妻とI様の4人で観に行ってまいりました。
前評判が良いと聞いていたものの、期待を上回る面白さでした。

四谷怪談と忠臣蔵は何のつながりがあるのかと思っておりましたが、四谷怪談は忠臣蔵の外伝(今でいうスピンオフ)です。
幸四郎氏演じる民谷伊右衛門。
忠臣蔵の四十七士には入らなかった(脱落した)浪人のお話。
ですので、四谷怪談を12月に演じるのにはちゃんと理由があるのです。

染五郎さんも久々に拝見しましたが、お岩さんを見事に演じていたのではないのかと思います。
なんというか、セリフのないシーンにとても引き付けられました。
例えば、伊右衛門からもらった薬(毒)を飲むシーンの表情であるとか、有名な髪漉きのシーンなど見ていてゾッとするものがありました。

休憩を挟んでの5時間という長いお芝居でしたが、時間を感じさせることもなくあっという間。
歌舞伎座でも再演を是非ともお願いしたいところです!

八月納涼歌舞伎@歌舞伎座

最近は母と見に行く歌舞伎が定番になってきました。
今回は第一部の『おちくぼ物語』と『棒しばり』を観劇。

歌舞伎好きのお客様に、おちくぼ物語の左近少将役の中村隼人はイケメンだとかなり洗脳された後に観に行きましたが、その通りのイケメンぶりでした(笑)
華やかさや美しさは天から与えられたものですから、この美しさをこれからも継続していってほしいです。
歌舞伎座の解説にも書いてあった通り、お話の内容は日本版シンデレラ。
予備知識なしに見ても楽しめるお話です。

棒しばりは見るたびに思います。
手を縛られたままで踊るのは見ている以上に大変だろうと。
それを難なくこなし、観客の笑いも取るのは更に難しい事でしょう。
これも鍛錬の賜物ですね。

菅原伝授手習鑑@歌舞伎座

三月大歌舞伎、昼の部を母と観に行ってきました。

昼の演目は菅原伝授手習鑑の【加茂堤】【筆法伝授】【道明寺】の3幕。
どちらかと言えば観る方にも知識が求められる難しい演目です。
『内容が難しい=つまらない』訳ではないのですが、客席も空席が目立ちました。
聞いた話によると、仁左衛門さんはこの役をなさるのはもう最後かもしれないという・・・
真偽の程は分かりませんが、益々見ておいてよかったと思います。
何人かのお客様にも何人か話したところ、観たいけれど観に行けない!という声も聞かれました。

今回、染五郎さんを観るのも久しぶりでしたが、久々の染五郎さんに感動!
坂東三津五郎さんもお亡くなりになり、贔屓の役者がいつでも観れるという事は決して無いのだと痛感しました。
この世代の方々が次世代の歌舞伎を担う世代です。本当に盛り上げていってほしいと思っております。

歌舞伎は25日間休み無しの過酷なお仕事だというお話をされている方もいらっしゃいましたが、私の父と同年代の方々だと考えると、父には絶対に無理だろうなと思う次第です(苦笑)
もう少し、勤務体制を変えられたらいいのではないでしょうか。曜日ごとに配役を変えるとか、色々方法はあると思います。

菅原伝授手習鑑のあらすじ→文化デジタルライブラリー

伝統歌舞伎保存会

お客様に誘われて、国立劇場で開催された伝統歌舞伎保存会の研修発表会を観に行ってきました。
伝統歌舞伎保存会とは次代を担う新人を育成する事と、歌舞伎の世界に生まれなかった人たちが歌舞伎の世界を目指し日々修行をする場所なのです。
普段は舞台に立っても1行ほどのセリフしかない者だけで演目を行うのですから相当の努力、そして何よりも緊張する場だと思います。

演目は『御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)』
今回主役を張る中村音蔵さんのご友人がチケットを手配してくださいました。本当にありがとうございます。
あらすじは割愛させていただきますが、音蔵さんは役者になるために生まれてきたのではないかというくらいの素晴らしい方でした!
花道に立った時の美しさといい、七五調の難しいせりふ回しと言い素晴らしかったです。
一緒に見に行ったN様は「きれい~。」と思わずつぶやいておりました(笑)
研究発表会だからと言って主役に抜擢されるのは難しい事だと思いますが、菊五郎さんの目に留まったのでしょう。
機会があれば、こういう発表会をこれからも観に行きたいと思っております。

そして第2部のお楽しみ大喜利。
こちらは菊五郎さん、菊之助さん、左団次さん、時蔵さんとそうそうたるメンバー。
役者さんが出すクイズに答えるとメンバー全員のサインが入った色紙が貰えるという素晴らしい企画!
しかも一緒に観ていたNさんは一番に色紙をゲット!N様すごいパワーです。

とても楽しい企画でしたので、また次回に期待したいと(おおいに)思っています。

本日のお客様 (小紋のお渡し) (宮古上布のお渡し)

1組目のお客様のM様。
お仕事の前に立ち寄ってくださいました。
ご依頼いただいておりました、袷の小紋が出来上がりましたのでお受け取りにいらしてくださいました。
小紋は白地の中に朱赤の雲取り文様が描かれ、小紋ですが少し改まった雰囲気のお着物。
附下とまではいきませんが、帯合わせでグッと格が上がりそうです。

鍼灸師のM様には、私の相方が腰痛で病院に通った話をする。
「もしかしたら内臓の疾患があるかもしれない。」の様な事態になったのですが、結局は内臓には異常なしの健康体で一段落しました。
「重篤な病気でなくてよかったですね。」とおっしゃって下さいましたが、腰痛は今もあるらしく整体通いは続きそうです。

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2組目のお客様。ご近所のN様。
夏前にご依頼いただきました、宮古上布のお仕立て直しとお直しをお渡しする。

歌舞伎がお好きなN様は月に何度か観に行かれるそうです。
今月観に行った『天守物語』ですが、もしかしたら玉三郎さんで観れるのは最後かもしれないというお話。
あの、妖気漂う雰囲気を醸し出せる人は玉三郎さん以外になかなか思いつかないですね。
そう思うと観ておいてよかったなと改めて思いました。
これから歌舞伎界は代替わりになるはずです。
今の若手の人たちが今の人間国宝クラスになる(かどうかはわかりませんが)までにあと30年くらいでしょうか。
「私、生きてないわ~。」とおっしゃるN様に「お元気だと思いますよ。」と思わず、突っ込んでしまいました(笑)
それくらいにパワー溢れるお元気なN様なのです。

お仕立の宮古上布は洗張りをしましたので、とてもきれいになりました。
少々スジは残ったもののあまり気にならないと思います。
同時にご依頼いただいた小千谷の絽の長襦袢を羽織っていただいて丈を確認する。
それも丁度良さそうです。
「次回は9月頃にお直しを持ってきます。」
とまた、ご依頼の予約をいただく。楽しみにお待ちしております。

七月大歌舞伎@歌舞伎座

台風8号の影響を一番受けるとされた11日。
7月では過去最大規模という台風は東京にはあまり影響を及ぼさず、お昼過ぎには晴れ間が広がり夏日の暑さとなりました。
前日まではひやひやしておりましたが、母と七月大歌舞伎、夜の部を観に行ってきました。

今回は花道近くの良席で、演者の間近に感じられます。
玉三郎さんの演目を観たのは久しぶりの様な気もしましたが、杮落し公演の伽羅先代萩以来です。
今回楽しみにしていたのは泉鏡花作、天守物語。
歌舞伎というよりも現代劇に近く、歌舞伎にはない演出も面白く工夫されていました。
玉三郎さん演じる富姫は、人間ではなく播磨の国の白鷺城天守に住むとされる、いわゆる物の怪の姫。
伽羅先代萩の夕霧の美しさとは打って変わり、人間的ではない妖艶さを出せるのはさすがです。
歌舞伎には珍しいカーテンコールも二度ほど応えてくださり、充分に楽しむことができました。

初春大歌舞伎@歌舞伎座

今年初の歌舞伎観劇。
母が知り合いからチケットを頂く様で、新歌舞伎座になって以来、私個人では1度も購入したことがないというありがたい状況なのです。

今回は昼の部を観劇。
『杉浦の太鼓』では故勘三郎氏が出演していた時の事を思い出します。
浅草の平成中村座だったと思う。

今回の松浦鎮信候は吉右衛門氏。

松浦候の隣の屋敷は吉良上野介邸。
松浦候は赤穂浪士の討ち入りを今か今かと待ち望んでいるものの、そんな気配は全く無く、それに業を煮やした松浦候は機嫌が悪くなり、悪態をつくのですが・・・

松浦鎮信候はひょうひょうとしていて、どこか子供の様な愛らしいキャラクターとして描かれています。
故勘三郎氏は本当にこういう役がぴったりで、笑いが絶えないお芝居だったと思います。
今回の吉右衛門氏は、楽しい事があれば今までの不機嫌さはどこかに行ってしまう『こういう人いるよね。』的な、要所でクスッと笑ってしまう、そんな松浦候。
どちらにもそれぞれの味があって、色々な役者さんの違いを見るのも最近では楽しみになってきました。