これからお着物を始めようと思われている方へ、僭越ながら私からのアドバイスです。
お着物を始めたばかりの方はまだご自身の趣味も定まっていない事が多いので
とりあえず手短かにあるお着物をお召しになる事から始める方が殆どです。
それが悪いという事ではありませんが、まずはお気に入りの1枚を見つけてそれを十分に着倒してから次の段階に入った方がいいと思います。
お着物を沢山持たなくても十分に楽しめます。
最初から色々な事(物)に手を付けてしまうと収拾がつかなくなり、自分の好みが分かるまでに時間がかかってしまいます。
そして、出来ればお着物に関する良きアドバイザーを見つけてください。
ご友人やサークルなどでもいいと思います。
始めたばかりの頃は、身近にいるアドバイザーでご自身の着物スタイルが成り立ってしまうので是非とも良きアドバイスをくださる方を見つけてほしいところです。
本来は呉服屋さんであってほしいのですが、難しいところもあります。
呉服屋さんと話すにはそれなりの知識が必要で、始めたばかりの方には呉服屋さんが話している事すら分からないはずです。
知識が無ければ良し悪しの判断が自分では付けられず、お店の方の意見で購入する事になってしまいかねません。
購入や着物の加工などを強制的に勧めてくるお店も中にはあるのかもしれませんが
向こうも商売なので売りつけているという感覚はないかもしれません。
実際には間口が広くて入りやすいお店よりも敷居が高いと思われるお店の方が売りつける様な事もしないものです。
お客様のお話をお伺いしていると
『呉服屋さんて怖い。』
『買うまで離してくれなさそう。』
と思われる方が結構いらっしゃるようです。
もしくはそういったイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
私の知る限り、殆どは良心的な呉服屋さんです。
出来れば呉服屋さんとはいい関係でいた方がお得であるのは間違いないのです。
一番よくないのは自分の意思をはっきりと伝えない事です。
私自身は売りつけられていると感じたお店はありません。
もし、売りつけられているのかなと感じても購入しなければいいだけの話です。
店員さんの説明が止まらなくても、お勉強として耳を傾けて
最後には「お話ありがとうございました。」と言って笑顔でお店を出ていけばよいのです。
知識を付ければおのずと不要な事が分かります。
自分の中での判断基準が出来るまではなかなか難しいですが
誰かが良いと言ったからではなく、自分で良いと思ったものを購入するように心がけてみてください。
「このお着物は直す価値がありますか?」
割とよく質問されるフレーズですが、そのお着物の価値は自分だけの物です。
以前こんな事がありました。
こう言っては失礼なのですが、ボロボロの大島紬を2反持ち込まれて
「この2枚を組み合わせて1枚にお仕立てしてください。」
というご依頼がありました。
結構大変な作業でしたが、とても素敵に仕上がり、お客様も出来上がったお着物をとても喜んでくださいましてお写真も送ってくださいました。
もう10年以上前のお話ですが、そのお写真は今でも大切に保存してあります。
やはり、お召しになって初めてそのお着物の美しさが表れてくると思います。
お召しになる方の信念みたいなものが表れてくるのだと思う様になりました。
そのお着物の価値を見出すのはお召しになる方自身です。
お客様がどうしてもお直ししたいと言われれば、私はそのお着物に出来るだけの事をするだけなのです。
■本当に着用する機会があるのか。
■どのくらいの頻度で着用するのか。
■第三者の意見で購入しない。最後は自分の意見です。
まず最初の1年は『自分の着物の好みを知る』
そして3年間は『着物に関する知識を増やす』ことを目標にしてみてください。
石の上にも三年と言いますが、何事も道筋が分かるようになるには3年くらいはかかるのではないかと思います。
3年後には着物仲間も知識も増え、最初はおぼつかなかった着付けもだいぶ上達しているはずです。
その頃には反物を購入してから出来上がるまでにどの位の金額がかかるのか
着物の加工ににかかる金額の目安も大体も分かってきます。
何かを学ぶには自腹を切る事が大切で、無料で得られる事はすぐに失ってしまうか、後々高くついてしまうものです。
ブログなどでもたまに書き込んだりしていますが、お仕立て直しをする時はそのお着物に見合ったお直しをするチャンスと考えてください。
その際に少々お金をかけてあげるとメンテナンスにかかる費用が少なく済むようになります。
その時はご相談下さい。
不要な加工はお薦めしません。
お着物を着ていけば自然に分かってくることなので、難しく考える必要はありません。
【無料】【簡単】【誰にでも出来る】などのワードに惑わされないでください。
私に出来るお手伝いはもちろんさせて頂きます。