2019-09-16
絽の黒紋付き 羽織 ■伊と幸・松岡姫■
【中野区K様 絽の黒紋付き 羽織】
前回のお着物の羽織になります。
こちらも五ツ紋。
着物と羽織の五ツ紋をお仕立てする場合、当たり前なのですが着物と羽織の反物を間違えてはいけないという注意点があります。
親切(?)な染屋さんの場合、こちらが着物でこちらが羽織と反物の端に染められていたりします。
今回はそれもなく、お渡しいただいた時は2つの染められた反物があるだけです。
両方とも五ツ紋の場合、何で見分けるのか和裁士ならもちろん分かりますが、皆さまはお分かりになりますでしょうか?
答えは抱紋の位置です。
羽織の衿はひっくり返して着用しますので、着物と同じ位置に抱紋があると衿で隠れてしまう為に紋が少々袖付け側に寄っているのです。
紋付きの場合(に限りませんが)裁断する際はとても緊張します。
女物の訪問着や黒留袖は仮絵羽になっているので最初から裁断されていますが、男物の黒紋付きは裁断されておりません。
その為、裁断する箇所を間違えるともうどうにもなりません。
逆に言うと五ツ紋は裁断する箇所が決まっているので間違えられないとも言えます。
K様は色紋付きと袷の黒紋付き(五ツ紋)とこれが紋付きのお仕立て3着目です。
いつも緊張との戦いです(笑)