2021-08-08
ある日のお客様@着付け師採寸 『繰越について』
着物の寸法って単独ではないとつくづく思います。
今回は『繰越』について考えました。
繰越とは簡単に言うと、衣紋を抜くために衿(首の後ろの部分)をどのくらい後ろに付けるのかの寸法です。
衣紋を抜かないで着る着物(男物)には繰越がついていません。
ですが、繰越がついていないからと言って衣紋が抜けない訳ではありません。
もし、男物の着物がご自宅にあったら衣紋を抜いて着てみてください。
衣紋を抜いて着る事は出来ると思います。
ですが、衣紋を多く抜く方ですと肩山がぐっと後に回ってしまい前身頃のおはしょりがかなり少なくなるはずです。
自分の着物を着た時に前身頃と後身頃のおはしょりの分量がだいぶ違うという方は繰越が合っていない事も一因に上げられます。
衣紋が戻ってきてしまうという方は繰越寸法の前に是非とも見直してほしいところがあります。
『長襦袢の着付け』です。
繰越が1寸(約3.8センチ)ついているのに衣紋が戻るという方は着付けに問題有です。
繰越を大きくしても、長襦袢がきちんと着られなければ衣紋は戻ります。
着物の衿は長襦袢に添っているだけです。
長襦袢がきれいに着られていなければ衣紋が抜けないというのはなんとなくイメージがつくはずです。
着付け教室に通われていらっしゃるのでしたらその辺りを先生に教わってください。
繰越5分(約1.9センチ)の方でもきれいに衣紋を抜いておられる方も沢山いらっしゃいます。
紬もお召しになっていただいて、『見え方』を確認いたしました。
繰越は裄寸法とも関係しています。
繰越が変われば裄の見え方も変わります。
見え方が変わるという事は、今までと寸法が変わるという事です。
ざっくりと繰越のお話でした。
また何かの機会にお話ししたいと思っています。