着物以外

縮緬地 壁掛け

【港区K様 縮緬地 壁掛け】

実は最初にご依頼をいただいた時はお断りさせていただきました。
というのも、こういうシンプルな作りの物は出来不出来が分かりやすいのと、もっと適した職業の方がいらっしゃるのではないかという思いがありました。
ですが、新しいものに取り組みたいという思いもあり何度かメールでやり取りをしていくうちにお受けしようと思い始めました。

表地のみで暖簾の様な作りにするのではなく、裏地を付け、縁には綿を入れて横から見れば少し厚みがある様に見えるものをご希望されました。
裏地を付けるという事は2枚の釣り合いも考えなくてはいけませんし、ただ同じサイズの物を2枚くっつければいいという単純なものではないのです。

先日ご自宅の壁にかけた時のお写真を送って下さいました。
ご依頼をお受けした良かった!
と素直に思いました。

そのメールにはこの様な言葉がありました。

『箪笥の中で眠っている着物が、着られる機会を得ることは勿論のこと、皆が長年の着物の文化を愛おしく思ったり見直したりして、色々と活用したいと思うことで、着物文化や技術を今後も継いでゆけるようにと思ってのことです。』

現代美術に関係するお仕事をなさっているK様だからこそ、古いものを今の生活に取り入れる試みているのではないかと思います。