女物

ペンギン柄銘仙

【八王子市Y様 ペンギン柄銘仙】

お着物の柄で動物柄は今も昔も人気があり、犬、猫、鳥などは比較的目にする機会はあると思いますが、鳥は鳥でもペンギンはなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
諸説あるようですが、銘仙の発祥は江戸時代、『銘仙』と呼ばれるようになったのは明治時代ではないかと言われております。
大正から昭和の初めにかけて爆発的な人気を誇り、代表的な産地も秩父、足利、桐生、伊勢崎、八王子と数多くあるお着物です。
柄も多種多様で、お花、風景、動物、人物はもとより大胆な幾何学模様まで多岐に渡っており、見ているだけでも楽しめるお着物だと思います。
銘仙のコレクターもいるほど、とても面白い柄に溢れています。

今回も数ある銘仙の中でも面白い柄のお着物に入るのではないでしょうか。
どうぞ長く楽しんでいただきたいと思います。

   

結城縮 絣の羽織

【千代田区O様 結城縮 絣の羽織】

前回、トラジャ族の絞りの羽織のお仕立てに引き続き、2枚目の羽織をお仕立てさせていただきました。
元々はお着物でしたが、身丈が短かった為、最初から胴継もありました。
洗張りから上がってきた時点でかなりの接ぎがあることと、衿肩明き(首が入る切り込み)が3つも開いていることも更に判明。
お着物の時点でも沢山のやりくりをしてお仕立てされているお着物でした。

最初はお着物でのお仕立て直しをご希望されておりましたが、羽織もまだ1枚しかお持ちでないという事で急遽、羽織にお仕立て直しとなりました。
羽織にするにも少々問題がありましたが、O様のアイデアもあり通常のお仕立てとは少し違う部分もありますが無事羽織として再生することができました。
こういうやりくりも面白いところです。

 

刺繍入り結城紬

【文京区I様 刺繍入り結城紬】

こちらも飯島桃子さんの刺繍を結城紬に入れたお着物です。
結城紬の方も無地ではなく、よく見ると経絣が入っています。

しゃれ紋と八掛の上前に刺繍が入っており、ザクロと鳥の刺繍がI様のイメージととてもよく合っているお着物になりました。
少しシックな色合いもI様にお似合いになると思います。

   

無地に刺繍入りのお着物

【江東区H様 刺繍入りのお着物】

無地のお着物に刺繍を入れたお着物をお仕立しました。
刺繍は飯島桃子さん。

衽には蔦の様な少し抽象的な植物、しゃれ紋には小鳥、八掛には羽根が刺繍されています。
お着物の生地にも銀糸が縫い込まれており、無地でお仕立てするよりもぐっと華やかになりました。
無地のお着物はポイントに刺繍を入れるだけでも印象が変わります。
これも着物の面白いところかもしれません。

  

ご婚礼用 飛鶴紋様 引き振袖

【世田谷区K様 ご婚礼用 飛鶴文様 引き振袖】

昨年いらして頂きましたK様。
3月にご結婚されるという事で、元々は振袖用だったお着物を引き振袖にお直しされたいというご依頼をいただきました。
K様自身はこちらのお着物を成人式にはお召になっていないそうですが
「文様からして、婚礼用ですよね?」
とおっしゃる通り、婚礼用にふさわしいお着物だと思います。
上前の柄もかなり高い位置までありますし・・・

少しだけお仕立て直しのご説明。
振袖から引き振袖に直す場合は、洗張りをしてお仕立て直しとなります。
(ほかのお店ではお直しでされるところもありますが、『仕立屋 凛』ではお仕立て直しで承っております。)
振袖と引き振袖の違いは簡単にいうと比翼が付く事と、衿の長さが違う、そして身丈が違います。
ネットの画像を見てみると、衿の長さが長く帯の下から衿先が長く出てしまっている物もありますが、おはしょりをつけてお召になるお着物をお引きずりとしているようです。
お引きずりとは言うものの、実際に移動する際は裾を持ち上げて歩きます。
抱え帯やしごきは元々裾をたくし上げて移動する際に使われていたものですが、今は装飾品としての意味合いが強いです。

今回は大まかにいうと下記工程をさせて頂きました。
・洗張
・比翼を染める(ご希望のお色に染められます)
・お仕立て直し

裏地の長さが足りない、などいろいろな問題がある場合はその都度対応させていただきます。
表地の長さが足りない場合は残念ながら承れません。
今回は裏地の長さも足りましたので、接ぎを入れることもなくお仕立て出来ました。

K様の末永いお幸せをお祈り申し上げます。

   

スラウェシ島トラジャ族絞りの羽織

【千代田区O様 スラウェシ島トラジャ族絞りの羽織】

インドネシア、スラウェシ島のトラジャ族の絞り染めの布を羽織にお仕立ていたしました。
木綿の生地に染められた絞りの文様は祭礼用に使われていたといいます。

羽裏に使用した布はオールドバティックですので、図らずもインドネシアのコラボレーションになりました。

今回は絞りの表地の生地を2枚使用。
羽織は着尺よりも短くてもできますが、普通に裁断するとほぼ着尺と同じくらいの長さが必要です。
表地の大きさ、裁断の仕方、柄の出し方によりだいぶ用尺が変わりますのでまずはご相談からになります。

下の画像はO様宅にお伺いした際に、出来上がりのイメージをお伺いした時のものです。

先日お会いした時は、珊瑚の羽織紐を組み合わせていらっしゃいました。
珊瑚の朱色が映える美しいコーディネートです。

「お着物は沢山あるけれど羽織が無い。」との事でもう1枚羽織のお仕立てをご依頼いただいております。
次回は日本の紬ですが、出来上がりを楽しみにお待ちいただければと思います。

 

お召 塵除けコート

【杉並区T様 お召塵除けコート】

こちらのコートはお着物だったものを洗張をしてコートへお仕立て直しいたしました。
防水加工もいたしましたが、雨コートというよりも着物を汚さない為の塵除けコートとして使いたいというご希望でした。
防水加工は一応、突然の雨を考えてというオプションという考え方なのだと思います。

コートの身丈を決める為にお着物を着ていらして頂きましたが、刺繍の半衿をつけていたのでちょっと伺ってみると『刺繍は独学』だそうですがご自身で刺繍されたという事。
とてもお上手でした。

今回も紐飾りのご希望でした。

こうやって少しずつお着物のアイテムを増やしていくのはとても楽しい事だと思います。

 

紬 道中着

【杉並区O様 紬道中着】

紬の道中着をお仕立てさせていただきました。
雑誌に載っていたお写真をお送りいただいて「こんな感じにしてください!」とご依頼いただいたコートです。
紬ですので普段使いという事になりますが、今回は防水加工をしてからのお仕立てです。
お着物ヘビーユーザーのO様ですのでかなりの出番があると思います。
紐部分の花飾りはご依頼があった場合のみお付けしております。

 

坂井教人作 梅訪問着

【世田谷区N様 坂井教人作 梅訪問着】

1月らしく梅の訪問着のお仕立物です。

こちらのお着物は加賀友禅作家の坂井教人氏による訪問着。
お客様のN様曰く「梅の訪問着でかっこよい着物がなかなか無い。」という中で見つけた”カッコイイ”お着物。
梅はお正月や初春を彩る文様として昔から日本人に愛されており、1月の歌舞伎座などでは必ずお召しになっている方をお見掛けします。

N様は身長がお高いので、購入される際は寸法ができるかどうかお店からお電話がありました(笑)
こういった大胆な柄は身長が大きい方の方が見栄えがする様に思います。
梅の季節を楽しんでいただきたいです。

   

久米島紬 胴抜き仕立て

【神奈川県大磯 U様 久米島紬】

今回、ご紹介するお着物はちょっと感慨深いお着物です。
というのも、本来こちらの久米島紬のお着物はU様の持ち物ではなく、W様という男性の方のお着物でした。
U様からご連絡をいただいた時に、そのW様がお亡くなりになられて奥様から譲り受けたというお話でした。

私がまだ江東区に住んでいたころ、W様、奥様共にお付き合いをさせて頂いており、色々なところへもご一緒させていただきました。
W様はジャーナリストという事もあり、とても博識で私の知らないお話しを沢山聞かせてくださいました。
お話ししてくださる言葉1つ1つに重みがあり、それが今の私には宝物の様に心の中に残っています。

「才能というのは、その仕事を続けていけるという事も才能の1つだから。」

そうおっしゃって下さったW様の言葉が今でもこの仕事をする上での心の支えになっています。

私の中ではW様ご夫妻と愛犬のワンちゃん2匹が仲良く(その当時は)別荘へ向かわれるお車を見送ったのがW様にお会いした最後だったような気がします。

今回のお着物もU様の元で長く愛されるお着物になっていただけると思うと、本当にうれしく思います。
そしてW様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。