単衣

草木染 単衣色無地

【草木染 単衣色無地】

前回と同じく大田区K様の色無地単衣のお仕立物です。
こちらは草木染だそうで若干染めの色の濃さが違う様な所が見受けられました。
染ムラというとあまりいいイメージがないかもしれませんが、私は手作りの物はそういうところに特徴があると思っています。
紬にはフシがありますし、それをキズと見るかどうかはその人次第です。
そこに手作りの良さを見出してほしいと思います。

こちらのお着物は地模様が薔薇のお花の様な織になっていて、あまり見ない反物だと思い聞いてみたところ、やはり昔に染めた物だという事でした。
こういう白生地があったら私も欲しいと思う反物でした。

 

紗羽織 柳に燕文様

【大田区K様 紗羽織 柳に燕】

昔からの習慣で夏も羽織が欠かせないとおっしゃるK様。
こちらの羽織は紋紗の柳の葉の上に燕の刺繍があしらわれています。

着物だけでも暑いと思われる方も多いと思いますが、なぜか紗羽織をお召しになった方を見ると涼しげに感じます。
見ている人にも涼しさを提供する事が出来るのも、着物の機能美なのでしょう。
羽織だけ見ているよりも、お召しになった時の方がとても涼しげでしょうね。

雪華刺繍 麻附下

【雪華刺繍 麻附下】

刺繍士 飯島桃子さんによる刺繍の附下です。
5月に行われた三渓園での日本の夏したく展で販売されていたお着物で、刺繍だけではなく藍染も彼女が行っております。
夏着物に冬の文様を入れて涼を呼ぶ図案は昔からありますが、藍染と雪華の刺繍が本当に涼やかに感じます。
このお着物でしたら暑い日差しの下でも苦にならずに楽しく過ごせそうですね。

  

色無地 単衣仕立て

【港区Y様 色無地 単衣仕立て】

白反から染めてのお仕立物です。
以前は白抜きの1つ紋を入れさせていただきましたが、今回は丸に橘の1ツ紋をケシ縫で入れてのお仕立です。
地模様が茶屋辻(帷子によく使われてた文様)という事もあり、染のお色も涼やかな薄い水色になさいました。
引き取りにいらして頂いた時は「最近は普段でも着物を着て出かけるようになりました。」と話してくださいました。
お茶もされているY様ですが、お茶だけにとどまらず、ご友人とのお食事など色々お出かけされているようです。
これからも沢山お召しになって頂きたいです。

  

浴衣3枚

【世田谷区S様 浴衣】

盆オドラーのS様。
浴衣を3枚お仕立いたしました。
先月、お直しを含めて先に2枚お渡ししております。

他の所でお仕立した時に、以前私がお仕立した浴衣を持っていき採寸してもらったのだそうですが
「こんなに小さくて大丈夫ですか?」と言われたそうです。
和裁士が採寸するのと、店舗の販売員が採寸するのではかなりのズレがあるのでしょうね。
大きいと着にくいという事はお着物を着慣れてている者なら皆分かっていると思うのですが・・・

さて、S様は佐渡の相川音頭という古くから伝わる盆踊りを見てこられたのだそう。
主に男性が踊り、拡張高い雰囲気の踊りだという事ですが、この盆踊りの存在を知ったのは初めてでした。
有名なところでは秋田の西馬音内の盆踊りや、越中八尾のおわら風の盆などがありますが、盆踊りとは本来こういうものなのかなと思います。
全国には伝統的な盆踊りがまだまだありそうです。

久留米絣

【大田区W様 久留米絣】

単衣仕立ての久留米絣です。
私も好きな藍染のお着物です。最初に水通しをしましたが、色落ちもそれほどありませんでしたので気にせずに楽しめると思います。
藍のお着物は仕立てているときも藍の匂いがします。
独特の少し発酵した匂いですが、私は好きな匂いです。

お仕立の方ですが、柄は横並びが崩れない様にと、前身頃はなるべく柄を合わせました。
こちらのお着物に限らず、上前は柄を合わせるようにしています。

 

花文様 紗合わせ

【港区H様 花文様 紗合わせ】

紗合わせのお仕立物です。
あまりお仕立する機会がないお着物の1つに紗合わせがあります。
お召しになる時期が限定されるので、なかなかお仕立てされるには至らないのではないでしょうか。
最近は着物の柄により、秋にもお召しになっても構わないという様におすすめするところもあるようですが、私個人の感想としては秋にお召しになるには少し寒々しい印象を受ける様に思います。

紗合わせは紗と紗、紗と絽でお仕立てする事が出来ます。今回は紗と紗です。
紗合わせは附下が多いですね。
小紋でお仕立ても出来ますが、気軽にお出かけという印象にはならないので実際には小紋には不向きなのかもしれませんね。

 

竹田庄九郎 絞り染 紬単衣

【世田谷区N様 竹田庄九郎 絞り染 単衣】

こちらは紬地の絞り染になります。
紬というと少し地厚で固い様なイメージがありますが、とても柔らかく涼しげで単衣の着物に仕立てましょうという事になりました。

平縫い巻き上げ絞りと鹿の子絞りで染められ、地色のグラデーションといいとても爽やかに感じます。
絞りも麻と同じく、体に触れる接地面が少なくなるので、紬のお着物ですが涼しく感じられると思います。

こういう柄のお着物は配置に苦労します。
市松などが良い例なのですが、市松の配置を考えるのは小紋と言えどそう柄合わせと同じ苦労があります。
こちらは一つの横段をずらすと全体がかなりずれるので、どの位置にどの色を出すのかが悩みどころです。
丈(長さ)もありましたので背、脇、衽、袖付け、衿付け全てに色が重ならずに配置できました。

ざざんざ織 単衣着物

【江東区O様 ざざんざ織 単衣着物】

ざざんざ織の単衣着物です。
ざざんざ織はその地厚さゆえ、冬でも単衣仕立てでお召しになれるお着物です。
ざざんざ織に限らず、ご自分用でお召しになるのでしたら袷の時期でも単衣、袷にこだわる事はないと思っています。もちろん生地によりますが。
今は着物というと『お出かけ』の要素が強くなっていますので、日常着でお召しになっている方はごく僅かです。
私の祖父もいつも着物の人ではありませんでしたが、冬の着物で単衣仕立ての物がいくつかあったと思います。
普段使いでしたら単衣仕立てでも問題ありません。寝間着も浴衣の人でした。
今ではお出かけ着であるが故に、マナーや更衣替えなど細かい事に気を使ってしまうのでしょう。
身近に着物を着る人が居ないから分からないという要素が大きいかもしれませんね。

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このお着物は染め替えをなさったそうです。
元々の地色をお伺いしていなかったのですが、濃い紫のとてもいいお色に染まっていると思います。

ちなみに後身頃には共布で接ぎを入れてあります。
単衣の時期よりも袷の時期向きのお着物ですが、冬の間楽しんでいただきたいと思います。

 

ウール地 道行コート

【杉並区S様 ウール地 道行コート】

ウール生地から道行コートをお仕立てしました。
クリスマスカラーの様な色合いが、気持ちも高揚させてくれそうです。
お召しになるのはもちろん冬ですが、ウール地ですのでとても暖かく、寒い冬も楽しく過ごせそうです。
寒い日のお出かけを少しでも楽しいものになさって下さい。