単衣

結城縮 亀甲散らし 単衣仕立て

【町田市U様 結城縮 亀甲散らし】

このお着物を見た時に『これ凄い可愛いですね!』と思わず言ってしまいました。
色合いといい文様といい、私にはツボな文様でした。
元々はお袖にカケハギの跡があり、下前身頃と交換してのお仕立です。
こちらのお着物は洗張から承り、お仕立の際にカケハギ部分はほぼ隠れ、殆ど分からなくなりました。

ほぼお着物で生活しているU様はその日のお天気と相談してお着物をお召しになっているそうです。
お着物だからと言って難しく考える事はありません。
洋服と同じように考えればよいのです。

 

矢絣柄お召 単衣仕立て

【世田谷区N様 矢絣柄お召 単衣仕立て】

関東だとお召は馴染みの薄い生地ですが、関西の方はお茶の席にもよくお召を着用されるそうです。
というのも、『シワになりにくく着易い』という機能美を備えた生地なのでお茶にはもってこいなのだそう。
『柔らか物と紬の中間の様な生地』とよくたと例えられますが、本当にその通りで、縫っていても『柔らかい様な柔らかく無いような』という感触です。
確かにシワになりにくいという事は縫っていても分かります。
湿度の多い時期に柔らか物を縫っていると、少しの時間置いておくだけでシワになってしまうのですが、お召は殆どシワになりませんので扱いやすさにおいてはとても優秀なのだと思います。
修業時代、お召しは水に弱く熱に強いと教えられました。

お召の種類もおしゃれ着から礼装まで色々ありますが、無地のお召は関東で言う色無地の様なカテゴリーに近いそうです。

 

モダンな柄の浴衣

【港区K様 モダンな柄の浴衣】

反物を拝見した時から、出来上がったら印象的な浴衣になるだろうと思っておりましたが、その通りになりました。
基本的には大小のスクエアがちりばめられているという単純なパターンですが、組み合わせ方によって出来上がりのイメージはだいぶ変わってきます。
そろそろ浴衣も終わりの時期という頃にお渡ししましたが、お子さんの学校行事などでお召しになる機会があるそうです。
残りの夏を楽しんで下さい。

宮古上布

【江東区O様 宮古上布】

後身頃は共布で、下前身頃は同じく宮古上布の生地違いを使いお仕立しました。
小さいお着物を大きくお仕立する為に、色々と工夫できる事があります。
接ぎを入れるのはもちろんですが、出来るだけ共生地、共生地で取れなければなるべく目立ちにくい生地でという方法が良いでしょう。
今回の生地はO様の方でご用意いただきました。
私からの一方的な提案だけではなく、お客様と色々な方法を考えるという事が重要だと思っています。

 

草木染 琉球絣

【江東区I様 草木染 琉球絣】

最近、お仕立物のご依頼の中でも琉球絣を承る事が多いです。
こちらも草木染の琉球絣で、水雲などの文様が描かれております。
琉球絣の文様は自然、人体、器物などを具象化した文様です。
1つ1つの意味が分かれば更に楽しくなると思いますが、私も代表的な文様しか分からないのが正直なところです。

沖縄というとても暑い地域なのに、久米島紬の様な暖かい真綿紬、色鮮やかな紅型、蝉の羽と言われる宮古上布など多種多様な染織がある事に驚きます。
どの工芸もそうですが、後継者が育つことを願ってやみません。

  

たて涌文様 上布

【江東区H様 たて涌文様 上布】

大胆なたて涌文様の上布です。
こちらは身丈を大きくする為に後身頃に足し布を入れてのお仕立になります。

先日、H様にお会いした時「今年は暑すぎてまだ着ていないんです。」と話されていました。
確かに今年はちょっと異常な暑さ。
猛暑、酷暑という言葉も聞き飽きるほどに聞こえてきました。
麻を着るのも,外出するのもおっくうになるほどの暑さでしたが、来年は出来るだけ沢山お召しになって楽しんで下さい。

 

ぼかし染め 麻着物

【川崎市M様 ぼかし染め 麻着物】

こちらのお着物はアトリエ紀波さんの反物からお仕立させていただきました。
横浜三渓園で行われた日本の夏したく展で購入されたそうですが、私の方にお仕立をご依頼くださいました。ありがとうございます。
M様は紀波さんともお知り合いで、実は私の友人とも職場が一緒だというM様。
人の縁って思わぬところで繋がっていたりするので、面白いですよね。

さて、お着物は墨流しの様な麻のお着物。
紀波さんのお着物は、上品で繊細だといつも感じます。
光に透かした時の透け感もとても美しいお着物です。
暑い夏を少しでも楽しく過ごして頂けたらと思います。

 

千葉あやの作 正藍染め

【港区K様 千葉あやの作 正藍染め】

千葉あやの氏作 正藍染めの夏物です。
個人的に藍染めは染色の中でも一番好きなのですが、千葉あやの氏の藍染は麻の為の藍染めと言えるでしょう。
あやのさんが亡くなられた後は、娘のよしのさん,そして孫のまつ江さんと引き継がれています。
手仕事から出来ている物はどれも素朴で懐かく温かみに溢れています。
機械には出せない、この素朴さに私たちは魅かれるのだと思います。

詳しくはこちらをどうぞ→仙台、宮城のてしごとたち テとてとテ

  

上布2枚

【目黒区K様 男物上布と女物宮古上布】

K様ご夫妻の上布2枚のお仕立物です。
8月の青森ねぶた祭りを見に行かれるそうで、その際にご着用されるという事でした。

ご夫婦でお着物をお召しになる方、実は割と多くいらっしゃいます。
そして皆様、とても仲が良いのです。
同じ趣味を持ち、着物を着て、色々なところへ出かけられるのでしょう。
『仕立屋 凛』にもご夫婦でご相談に来られる方、沢山おられますが、どこのご夫婦のも奥様が主導権を握っていらっしゃる様に思います(笑)
そこも共通項ですね。

 

 

蔦の葉柄 麻絞り着物

【川崎市E様 蔦の葉柄 麻絞り着物】

麻の絞り染めのお着物です。
よくある事なのですが、絞り染めのお着物には、絞った時に括った糸が付いていることがあります。
このお着物についておりましたが、お渡しする際は取ってからお渡ししております。

蔦の葉文様ですが、着物の全体像を見ると夏空の様に感じました。
夏の青空に白い雲と言った、まさに盛夏にお召しになるのが楽しくなるようなお着物に出来上がったと思います。