日本の伝統・文化

「職人とは・・・」

献上博多織の技と心  白水社

人間国宝の小川規三郎さんの修業時代から今に至るまで、博多織の歴史から糸、染め、養蚕に関する事まで書かれています。
ご縁があって、小川さんとは1度福岡でお会いしたことがあります。とても気さくな方で私の稚拙な質問にも答えてくださいましたし、人間的な大きさを感じる方でした。
職人としての修業に関しては、私の修業時代とは比べ物にならないくらい厳しいものです。自分の親が師匠(親方)であるというから更に厳しかったのかも知れません。こんなことが出来る親なんて今はいないと思います。でもそれは愛情があってこそ出来るのかもしれないです。(詳しくは本を読んでみてください。)

職人として大事な事は人が教えてくれるものではなく肌で感じる事なのです。
しかし、現代人には1番難しい事なのかも知れません。昔なら誰でも感じていたような事が、便利な世の中になりすぎて、衰えてしまっているのは間違いない事でしょう。でも、でも1番こわいのは衰えている事にすら気付かない事なのではないでしょうか。
小川さんは、若手の織り手の育成にも力を入れておられます。さすがにご自分のお父様がした様な厳しいものではないかもしれませんが、一人でも多くの博多織の職人が育ってくれることを願います。