10月2014

本日のお客様 (男物大島お仕立て依頼)

先日、黒紋付きをお貸出ししましたH様がお着物を持ってきてくださいました。

1000人で三味線を弾くというイベントはギネスにも申請されるという事で、審査員も来ていたそうです。
ギネスに申請されるには、演奏中に弦が切れるパーセンテージも関係あるのだとおっしゃっておりましたが、弦が切れたのはなんと2人だけというとても少ない人数でで、めでたくギネスに登録されるそうです。
お写真も見せていただきましたが、もちろん画面に入りきらない人数ですので実際には圧巻の光景だったのでしょう。

イベントのお話を含め色々なお話をさせていただきましたが、本日は大島のお仕立て直しをお持ちいただきました。
茶系と紺系のアンサンブル2組。
茶系の方はシミなどが多く、こちらはお仕立て直しを断念。
紺色の大島は羽織と組み合わせて1枚にお仕立し直すという事で、洗張りからさせていただく事になりました。

古いお着物になると、お仕立を断念する様におすすめすることもあります。
難しい所ですが、その辺りのご相談はお客様とのコミュニケーションが1番大事かなと思っています。

本日のお客様 (結城紬アンサンブル お仕立て依頼)

本日は男性のお客様のM様。
結城紬のアンサンブルの反物をお持ちいただきました。
今夏に綿麻のお着物を始めてお仕立てされたそうで、その後お着物にはまっていったそうです。
その着姿をお写真で見せていただくと、本当にとてもお似合いなのです。
採寸の後に反物探しにや着物についてのお話を色々とお話させていただきましたが、M様の着物好きな姿勢が伝わってきます。
何事もそうですが、初心者にはいいガイドが必要だと思います。
それが、友人だったり呉服屋さんだったり色々ですが、そのガイドによってご自身の着物ライフがだいぶ変わってきてしまいます。
そのガイドの一人として私も微力ながらお力になれればと思っております。

刺繍のご相談 刺繍士 飯島桃子さん

今日は刺繍の相談を兼ねて刺繍士の飯島桃子さん(以下 桃ちゃん)に来ていただきました。
というのも、お客様のお仕立物で刺繍をご希望の方がいらっしゃいまして、刺繍のご提案をいただく事になりました。

久しぶりに会った桃ちゃん。
変わらず元気そうです。
11月半ばまで麻布のギャラリーでグループ展をされていて、一段落してから来てくれました。

ご依頼のお着物はアンティークの振袖の五ツ紋。
それを留袖にすべく、さらに紋も1ツ紋にされたいというご希望でした。
袖と抱き紋の上に刺繍を入れ、他の模様とおかしくないようにバランスよく入れる様お願いしました。
一見、誰でも出来る様な構図に思いますが、実際にアンティークのお着物を扱った事のない方には難しい事だと思います。
その点、桃ちゃんは扱いにもアンティークの着物には慣れておりますし、何よりもセンスが良いのです。
私としては安心して頼める、心強い刺繍士さんです。

そして、桃ちゃんからはお着物のお仕立とお直しをご依頼いただきました。
これからも物づくりをする者としてお互いに頑張っていきましょう!

本日のお客様 (世田谷区I様)

世田谷区のI様とお書きしましたが、アフリカのカメルーンに仕事で出張中、今一時帰国されている中いらしてくださいました。
というのも、2,3か月前にメールにて『アフリカでいい布があれば着物を作りたい!』とご連絡がありました。
そして、3日ほど前にお電話をいただき『この3日間しか行けるお日にちが無いのですが、お会いできますか?』という事で、本日お会いすることになりました。

お持ちいただいた生地は洗張りご希望の紬の着物と、アフリカの布は帯になさりたいという事でした。
カメルーンの藍染の生地をお持ちいただいたのですが、やはり染料の定着が弱く、布をこするだけで染料が落ちてきてしまいます。
私の方で水洗いをしてみてどうなるかを検討させていただく事に・・・

それにしてもI様はとても面白い方(スミマセン)で、ゆくゆくは国連で働きたいとおっしゃっておりました。
インドの女性はサリー、アフリカの女性も民族衣装を着ているので、自分も着物を着て働きたいのだそうです。
着物の着付け(特に女性物)は着ることを教えるだけでげんなりしてしまうところがあります。
その為に簡単な着付を考案して、海外の方にも着させてあげられるようにしたいという夢を話してくださいました。

その他にもアフリカでの出来事や着物に関するお話で盛り上がり、すっかりI様のファンになってしまいました!
本当に応援しておりますので夢に向かって頑張って下さいね。
次回、お会いできるのは5月以降だという事なので楽しみにお待ちしております。

本日のお客様 (男物お直しのお渡しと、色紋付のご依頼)

本日は男性のK様。
お直しした男物の身丈直し、裄直し等をお渡しさせていただきました。

本日はその他に色紋付のお着物と羽織のご依頼をいただきました。
男物の第一礼装は黒紋付きですが、婚礼のご参列になると色紋付、またはお召しの紋付(縫い紋)になる方が多いです。
今では白が新婦様の色である様に、黒紋付きは新郎様の色の様な感じもします。

男性の礼装は袴着用なのですが、それほど改まったお式でないのであれば袴無しで出席される方もいらっしゃいます。
そのあたりは主催者側の意向もありますので、TPOをわきまえていきたいものです。

本日のお客様 (黒紋付きについて)

本日は男性のH様。
銀座のギャラリーにお勤めのI様のご紹介でいらしてくださいました。

東京オリンピック招致のイベントで1000人で三味線を演奏するというイベントがあるのだそうで、それにお召しになる黒紋付きを探していらっしゃいました。
H様も色々と探し回ったそうですが、なかなかこれといったものが無く『今回は安価なものを仕立てます。』というご連絡をいただいきました。
安価なものをお仕立てするのでしたら、私の祖父の物がありますのでサイズが合えばお貸ししますよという事になり、サイズを確認する為、本日いらしていただきました。
サイズ的には少々小さ目でしたが、裄に関しては三味線を弾くのに問題はないというお答え。
袴もお腹の下の方で絞めればおかしくない長さです。
今回は黒紋付きをお貸し出しとなりましたが、三味線を続けていく上で黒紋付きは必須なのだそう。
ゆくゆくはご自身の黒紋付きをお持ちにならないといけないという事です。
私の方で染、紋入れ、生地も手配できるので、出来上がりのお見積りをお渡しさせていただきました。

次回いらしていただく時は、イベントのお話を楽しみにしております!

本日のお客様 (琉球紬のお仕立て依頼)

フラワーコディネーターのお仕事をされているK様。
本日はお着物でいらしてくださいました。
フラワーコーディネートはセンスもさることながら、体力もいる大変なお仕事だと思います。
お花屋さんで働く友人がおりましたが、やはりその大変さから辞めていく人が多いと聞きます。

本日は琉球紬の反物をお持ちいただきました。
単衣か袷で少し迷っておられましたが、着物は永久に着物の形でなくても良いのです。
袷から単衣、またその逆も、そして羽織、コートにもなりますし、最後は帯と楽しめるのです。
着方や好みは年齢と共に変わっていきます。
それに合わせて着物の楽しみ方も変えていけばよいのだと思っています。

本日のお客様 (結城紬のお渡し)

世田谷区T様。
15日に引っ越しをされるという事でしたが、直前のお忙しい時にいらしてくださいました。
本当にありがとうございます。
というのも13日は台風の予報もあり、その前日の12日にいらしていただく事に急遽変更。

お渡しするのは結城紬のお仕立物と、もう1枚も結城紬で身幅直しと八掛交換です。
薄ベージュ色の結城紬に無地染めを八掛がついていたので、胴裏との境目がクッキリと出てしまっていました。
呉服の販売員さんもこういう事に気をかけていただけたらなと思います。
後々の出費はお客様持ちではちょっとつらいものがあります。

お仕立物の結城紬は薄いグレーの縞文様。
こちらは暈しの八掛でお仕立てさせていただきました。
まだ、お着物を始めたばかりというT様でしたが、お話からも楽しんでいらっしゃる様子が垣間見れます。
本日も帯のお仕立を1本お預かりしました。
こちらは出来次第お送りさせていただきますね。

本日のお客様 (大島のお直し 袋直しについて)

ご近所のA様。
大島紬の袋直しをお渡しする。

素朴な疑問として、なぜ袋になるのか。
・お仕立前の地のし(アイロンがけ)が十分でない。
・表地と裏地の収縮率が違いすぎる物を付けている。
大きく分けるとこの様な原因があげられます。

地のしに関して。
大島紬の生地はあまり縮みません。
大島が袋になる場合は裏が縮んでいるので表地がかぶっています。
胴裏があまり縮まないとお考えの方、割といらっしゃるのではないかと思いますが実は結構縮みます。
私はスチームで縮ませてからお仕立をしていますが、スチームを充てると生地が動くのが分かるほどです。
けれども、スチームをかけたからと言って全く縮まないかというかというとそうではありません。
100%縮ませようとおもったら水に漬けるしかないのです。
そこまでしなくても、あとは仕立てでカバーできます。
表地よりも裏地が縮む生地の場合は裏を少しだけかぶらせておきます。

収縮率が違いすぎる物を裏地に付けている場合。
胴裏が結構縮むと先ほどお話しましたが、八掛が縮んでいる場合もあります。
紬には紬の八掛が1番良いのですが、チェニーやパレスの八掛を付けていると更に縮みます。
出来上りの時は表と裏の釣り合いが良くても、お召しになった時の体温や汗で縮んでいきます。
更に地のしがきちんと行われていないともうぐんぐん縮んでしまうのです。

紬の八掛は色揃えが少なく、ぼかしになると更に数少ないものになってしまいます。
それで柔らか物用の八掛を付けてしまうのかもしれませんがこれでは後々にお直し代がかさんでしまいます。
気にいったお色が無ければ、別染めした方が良いのではないかと思います。
最初の出費になるか、後々の出費になるかの違いだけではなく、少ない八掛の色から選ぶよりも良いのではないでしょうか。

今日お渡ししたA様の大島は八掛は紬でしたので胴裏が縮んでおりました。
もうそれほど縮む事はないと思いますが、裏を気持ちかぶらせてあります。
これでまた気持ちよくお召しになっていただきたいです。

本日のお客様 (結城縮の使用感についてのご相談)

世田谷区H様。
先日お渡ししました結城縮の着用感についてメールがありました。
“お茶をする時に上手く着物が捌けずにもたついてしまう。”
という内容の物でした。
以前と寸法を変更したわけでもないので、いらしていただいて拝見させていただく事になりました。

他にもいくつかお着物をお持ちいただいてお召しになっていただき、実際にお茶の時の動作をしてもらいました。
ひざをついて横に移動する様な時に、もたついてしまう(シワがよってしまう)感じがありました。

私の見立てでは、縮という生地はシボがあり、新品の反物でしたのでまだ生地の起毛が落ち着いていないのだと思いました。
居敷当てはついているものの、前身頃の裏には何もついていないので滑りが悪いのだと思います。
その為、生地と生地が擦れる様な動作の時にもたついてしまうのだと考えました。
私も木綿地の裾除けを使用した事があるのですが、歩いていると着物の中でもたついてとても歩きずらかったことがあります。
多分、年月が経てばそれもおさまってくると思いますが、月日が経つのをただ待っているだけでは今の対処ができません。
単衣のお着物ですが、前身頃と衽の裏にも羽二重を付けることが出来ますよとご提案。
更にいえば白ではなく、お着物を同じようなお色の方が目立ちません。

以上をご提案させていただきましたが、もう少し着用してみてH様にとっての最善策を考えますというお言葉をいただきました。
こういう相談が出来るのがとてもうれしいとも言っていただきましたが、私にとってもありがたい事だと思っています。
着用感はお客様それぞれです。
エンドユーザーの声を直に聴けるのは、個人で対応しているからこそ。
呉服屋さんを通してだと、なかなか聴くことはできないものです。
使用感をお伺いして更により良くしていきたいと思うのは、物作りを職業としている者としての使命なのではないでしょうか。
些細なことだと思わずに、色々ご相談いただきたいです。