お仕立てに関する話

最初が肝心 (浴衣のお仕立のお話)

東京の花火大会は隅田川から始まる。(と思っています。)

最近は男性の浴衣姿を見る事も多く、男着物の第一歩としてはとても良いのではないでしょうか。
さて、そんな中、とても短い丈の浴衣を着ている男性を見かけました。
踵から20㎝上と言いましょうか、脛の真ん中位までの着丈しかありません。
浴衣なので元々着丈が短めの物を購入して、お洗濯したら更に縮んでしまったのでしょう。
浴衣と言えど、もし私の相方がそんな着丈の物を着ていたら、「一緒に歩かないで!」と言ってしまうかもしれません。

「木綿は縮みますよ~。」と声を大にして言いたいです。
一般的に言うと、水通しをしてお仕立する方がはるかに少ないのです。というか、お仕立て前のアイロンだけで作成してしまう方が殆どだと思います。
私は必ずお仕立て前に水通しをしますが、縮む生地ですと2尺(約76センチ)の長さで8分(約3センチ)縮みます。
という事は1反(12~13メートル)で1尺2寸(約48センチ)縮むという事になります。
生地によってはもっと縮む物もあると思います。

既製品はともかく、浴衣を反物からお仕立するのでしたら水通しを必ずしてください。
出来れば呉服屋さんでなく、和裁士が水通しを行ってくれるところがベスト。
呉服屋さん経由だと、洗い屋さんが最後に機械で反物を成形します。
この『機械で成形』がせっかく縮めた生地を伸ばしてしまう事になってしまうので、本来の縮めるという意味がなくなってしまいます。

最初に水通しをしておけば、お仕立て後に劇的に縮んでしまう事は避けられます。
気に入った反物であれば尚更手をかけてあげてください。