2月2014

本日のお客様 (袷の裾直し)

府中市S様。
2年前にもお直しをご依頼いただいたお客様です。
こうやって何かあると訪ねて来てくださるお客様は本当にありがたく思います。
久しぶりにお会いしてお話を聞お伺いするのも楽しみの1つです。

今回は裾が擦り切れてしまった袷のお着物のお直しです。
裾は擦り切れるものですが、早めに対応して下さった方がもちろん良いです。
そのままお召しになっていると、八掛だけではなく表地も擦り切れてしまいます。
ご愛着のあるお着物は尚更メンテナンスをしてあげて下さい。

本日のお客様 (男物仮試着 裄の決め方)

目黒区Oご夫婦。
昨年にご依頼いただいておりましたお着物をお渡しする。

奥様は身長が168㎝と背が高くていらっしゃいます。
背が高いという事は、イコール裄が長いという事になります。
最初にいらして頂いた時にもお話させていただいたのですが、反物の巾は大体決まっています。
昔の物でなければ、女物の反物の巾は約1尺(38センチ)か9寸5分(36センチ)。
1尺の巾で出来る限界の裄が1尺9寸程度。
このサイズを着物の裄にするのではなく、コートの裄寸法として頂ければよいと思います。
着物で裄1尺9寸欲しくても少し我慢。
ですが、私はあまり裄の寸法を大きくしないことをお勧めしています。
とは言っても、おかしくない程度で決めていますのでご安心ください。

さて、話を戻します。
奥様の方は着物と長襦袢のお仕立物をお渡しする。
簡単に羽織っていただきましたが、サイズも丁度よさそうです。

そしてご主人。
ご自身のマイサイズを確認するためにも、今日は仮試着にいらして頂いたのです。
裏地を付ける前の、単衣のお着物の様な状態でお召しいただく。
身丈、裄、身幅を確認。これもよさそうです。
男性は帯を締めると少し身丈が上がりますのでそれも加味して身丈を決定しました。
対丈のお着物は本当に難しく、生地によっても変わるので身丈を出すのには毎回頭を悩ませます。
お客様にいらして頂くのは恐縮ですが、出来ればご足労いたいた方が私にもお客様にとってもプラスになると思っています。

出来次第お送りさせていただくという事で、頑張ってお仕立てします。

Blue Alchemy

本日は午前中にお客様。
お母様とご一緒に2人のかわいいお嬢様もいらして下さった。

コートのと羽織の身丈直し、もしくはお仕立て直しが出来るかどうか拝見させていただく。
大きくするには羽裏を長いものに交換すれば出来るのですが、大きくするのにスジが出ないかなどを確認するために一旦お預かりさせていただく事になりました。

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午後から、三軒茶屋のキャロットタワー内、生活工房にてBlue Alkemy-藍の錬金術-というタイトルのドキュメンタリーの上映会を観に行く。
日本、インド、バングラデシュ、アメリカ、メキシコ、エルサルバドル、ナイジェリアの藍染めを分析したアメリカ製作のドキュメンタリー。
どの国の藍染も、その出来栄えは神様に委ねられるという様な信仰的な部分がある様に感じます。
メキシコでは藍を染める際に、“きれいに染まりますように”と布で作った人形に願をかけ、それと一緒に染めていきます。
それだけ繊細で、難しい染色なのだという事なのでしょう。
インドの藍の染料は日本と違い、藍の葉を水に付けてその色素を取り出します。
その後、様々な工程を経て出来た藍の色素の塊は、みずみずしい大きな羊羹の様に見えます。
それは宝石のラピスラズリ(瑠璃)の様な美しさ。
これを乾燥させ、ヨーロッパに輸出されインドの藍は瞬く間に人々を魅了し全世界に広がっていったのです。

このドキュメンタリーを見れば藍の美しさもさることながら、古来から人々の生活に藍が欠かせないものだったのかが分かります。
私も染色の中では藍染めに1番惹かれます。
きっと空や海や宇宙に通じる、神様の造り出した色が人々を惹きつけるのだと思います。